「おはよう幸村君」
「ふふ、おはよう」
「おはようございます我が女神様!」
「おはよう平松君」
「えっ普通にスルー!?」
当日、と言っても休日である土曜日。億劫だと思いつつもちゃんと制服の袖に腕を通し学校まで来た私は偉い。
重たい鞄を下ろして窓を全て開放する。そこまで埃っぽくはないがやはり部屋の角には落ちているようだ。さて一体どこから手をつけたものか。シンクは最後として先ずはロッカーのを掃除かな。ロッカーの中は雑巾と乾拭きで二回拭く。ロッカーの掃除が終わったら宙に舞ってる埃を下に落とさないといけないから外で一旦休憩。終えたら後は掃除機で床の塵を吸い取る。ドリンクボトル専用の乾燥棚を綺麗に洗って錆やカビをおとす。水を受けるプラスチックのトレイの上には持ってきたキッチンペーパーを何枚か重ねて敷いて、残りの部活の間それで保つ。そして最後にシンク。よし、この流れでいこう。この流れなら今日中にでも人手がこれだけあれば片付きそうな気がする。一通りの流れを説明し、よっしゃ気合いいれていくぜ!と闘志を燃やしていた時だった。
「はいはい質問!」
「何、平松君?」
「今から何するんですか!」
「うん、出直しておいで」
「ひどくね?!」
酷くない。なんで人の話を聞かないんだこの男は。
呆れながらもバケツと雑巾を取りに行った部員数名が戻ってきたので、早速棚の掃除から始めた。
「……って、仁王君は?」
「見当たらないな…サボった確率、68%」
「…開始から30分もたってないんだけど」
「ふふ、俺が探しに行って来るよ」
「え、幸村君いいの?」
「うん、任せて」
その後10分ほどして幸村君が帰ってきた。顔に手のひらを当てて泣き真似をする仁王君を連れて。きっと掃除をサボったことに対する渇をいれられたんだろう。もうサボりませんと書かれた看板を首から提げているのがなかなか面白い。
あれから皆真面目に頑張ってくれたおかげで、1時間で終わった。棚の裏にある埃も掃除機では届かないためにホウキで掃いたりもした。さて5分休憩しますか、と全員で一旦外に出た。
「次は何するんですか!」
「平松君もうマジで出直しておいで」