群集心理 | ナノ




昼食はみんなと談笑した結果、あっという間に終えてしまった。集団でいると会話がつきないから続く続く。最終的に聞き手に回っていた私は、ただ黙々と食事をとりながら相槌をうっていた。丸井君の大食い列伝から始まり、仁王君の過酷な偏食さ、真田君の家訓の話、柳君の家庭料理の話。皆個性が豊かすぎるせいかキャラクターとして見てしまう私の悪い癖。いや癖じゃないくて偏見かな、これを何とかしたい。

昼からの練習は午前の続きらしい。そもそもトーナメントにするより総当たりにしたほうが確実にいいのではないか、と思う。なんとトーナメントの決勝まで幸村君が勝ち進んだというのが驚きだ。相手は青学の先輩だったが、1年間の差を見せつけない接戦には本当に驚かされた。でもやっぱり五感を奪われるって怖い。最終的に幸村君が優勝するという形で3日目の練習は幕を閉じた。


「おめでとう、幸村君。やっぱり強いね」

「ふふ、ありがとう。波江が見てたからだよ」

「それはないと思うけど」

「本当さ。波江が見てくれたから、今日は調子がよかったんだ」

「そ、そうなの?」


いや、それは買い被りすぎだ。いくら友達とはいえ、優勝を手にすることができたのは間違いなく幸村君の努力の結果。確かに友人が見守ってくれたら心強いかもしれないが、そこまで影響を与えるものだろうか。


「波江」

「ん?」

「夕飯は、二人でゆっくり食べたいな」


眉尻を下げてもイケメンか、本当に神に愛された子どもなんだなとつくづく思う。というか夕飯は私もそのつもりだったので、少し間をあけて頷いた。ありがとうと言って笑う彼はイケメンオーラを身に纏っていた。転生を自覚してなかったらこりゃ間違いなく惚れてる。そう思いながら二人でカフェテラスへと向かった。

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