幸村君が食事を終えて、部屋の前で私達は別れた。相変わらず優しい幸村君にたったそれだけで励まされ、明日も頑張ろうと思えた。
「俺達はお風呂入りに行くけど…波江は部屋にある個室なんだね」
「うん(いいなあ大浴場)」
「じゃあまた明日」
「うん、おやすみ」
「ふふ、おやすみ」
扉を閉めたと同時に蓄積されていた疲労が一気に溢れ出す。しんどすぎるが、風呂に入らなければならない。これだけ今日汗をかいたんだから、朝シャンというわけにもいかないだろう。
すぐさまジャージを脱いで畳み、バスタオルと下着を持って脱衣場へ向かった。トイレと浴室が別々の部屋にあることが幸いだ。バスタブにお湯ははってないので大きな白いイスに座る。髪の毛や体は設置されてあるものを、洗顔は肌の良し悪しが響くので自宅から持ってきたものを使う。洗顔といえば、今晩の夕食のことを嫌でも思い出す。
「ふむ、珍しいな。好きな歌手がいないとは」
「…はあ(曲ならあるけど)」
「では次の質問に移るが、今使っているボディソープ、シャンプー、リンスー、トリートメント、洗顔のメーカーを教えてくれ」
「(もうやだこの人)」
20分ほどして風呂から上がり時計を見れば短針は10をさしていた。よし、寝よう。めちゃくちゃ早く寝て、めちゃくちゃ早く起きよう。4時くらい。
早く起きてまずはドリンクを作る、干していたタオルの回収…そうだ明日から柔軟剤を使って2回洗濯しよう。やっぱりふわふわのタオルの方がいいし4時ならそれだけの時間がある。
低反発のベッドに身を預け、私はいつの間にか深い眠りについた。幸村君から着信があったことに気づくのは翌日のこと。