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コックドールの魔法

*オリキャラというか、切原君のお姉さんを捏造しています。もしかしたら切原君にはお姉さんがいなかったかもしれません…。それでも大丈夫な方はどうぞ!








はと目を覚ますと、そこはベッドの上だった。しかし見知らぬ真っ白な天井に疑問を抱く。私の祖母の家は木製だったから、天井が白いはずはないのだ。ぼんやりとうまく回らない頭を無理矢理回転させて何が起きたのか考えても全く整理がつかない。鉛が詰まっているかのように重い頭のまま起き上がり、部屋全体を見渡した。といってもここは寝室らしく、鏡台くらいしか大きな家具は見当たらなかった。カーテンの隙間から筆で細い直線をひいたような光が私の顔を照らした。あまりの眩しさに目を細めて伸びをしたとき、扉が音をたててゆっくり開いた。


「あら、起きたのね」

「えと…」

「家の前で倒れてたのよ?あなた、八重ちゃんって言うのよね。救急車呼ぼうとしたんだけど赤也が頑なに拒んでさ。ここで休ませたわけなんだけど…大丈夫?食事とれる?」


色々と分からないことが沢山あった。まずここはどこか。赤也君のお姉さん(?)がいるということは赤也君の家だろうか。しかし私が住んでいたあの村から赤也君の家まではかなり距離があったんじゃないだろうか。ということはあの時の赤也君と同じ立場に今私はいるということか。

どうやらこの女性はやっぱり赤也君のお姉さんらしく、真知子と名乗った。私が大丈夫だと答えると、真知子さんはリビングまで案内し、暖かいポタージュを出してくれた。クルトンはなんとパンのみみで作った自家製らしい。暖かくまろやかで、くちどけのいいポタージュだった。最後までスプーンを飲みきる間、色々とここの話を聞かせてくれた。

赤也君は今部活でいないとか、そのテニス部ではレギュラーの仲間入りを果たしているとか、全国大会進出は当たり前だとか。客観的な意見を聞くと改めて思った。赤也君は、本当にすごい人なんだ。そして赤也君のことを嬉しそうに話す真知子さんは、本当に赤也君が大好きなんだと分かった。実際喧嘩が多発するそうだけど。

ポタージュを飲み終えた後は私に関することを話した。赤也君より実は一つ歳上の年齢にいる私は真知子さんとすぐに打ち解けた。とても綺麗に笑う姿は裕子さんと重なったからだろうか。私も初対面かつ歳上の女性ということもあり緊張しまくりだったけど、いつの間にか自然に話すことができた。暫くリビングの一角で歓談していると、真知子さんの電話が音をたててなった。真知子さんは小さく謝ってから少し離れて電話に出た。少しするとはあ?なんて奇声が聞こえてびっくりしてしまったのは言うまでもない。電話を終えて戻ってきた真知子さんは苦笑していた。


「赤也、うちに弁当忘れたみたい」


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