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だるまさんはまだ振り向かない

12月4日、金曜日。いよいよ真実を検証する日が目前にまで迫ってきた。普段はコタツで丸まって過ごすだけの休日。しかし明日はそうもいかない。一体どこで何をしているのか、この謎を解明しなければならない。真実はいつも一つ!


「きゃーっ!幸村君ー!」
「かっこいー!」
「…………」


あんな華奢な女子中学生のどこに、これだけはしゃげる体力があるのだろう。ある意味一番の謎かもしれない。こりゃバーローでも推理できないわ。所詮は蘭の尻にしかれるだけの男だと私は認識しているからな。
4時間目がやっとこさ終わり、ようやく1時間ある昼休みに入った。座ったまま伸びをしてランチバッグを膝の上に乗せると、真子が前の空席に座った。


「ほーんと、イケメンって罪だわ」
「それは同感。でもいい刺激になるんじゃない?今この青春を生きる女子中学生なんて特に」
「何言ってんの、私の刺激は風早君だけだから」
「あー、私達は範疇外だね」


容態が安定してたんだろう、幸村君が退院したのがちょうど1学期末あたりだったはず。その頃はまだ看護師さんが配属されていたから、女子も自重して小声で盛り上がっていた。しかし2学期からは看護師さんがつくことはなく、それから女子の遠慮のなさは悪化した。一時は危篤に陥るほど病状は深刻だったというのに、恐るべし回復力だ。リハビリなんて過酷だっただろう。ただ、病院から出た途端思い出したかのようにまた話題を作って盛り上がる女子に、誰かモラルというものを教えてやってほしい。まあその都合の良さの塊が思春期を生きる女子にとっては当たり前なのだろう。まったく、迷惑千万な話だ。


「あ、今日金曜日か」
「うん」
「土曜にでもさ、久々にコストコ行かない?」
「あ、ごめん明日用事」
「うそっ、八重に用事あるなんて珍しい」
「まーね。日曜はどう?」
「私は基本オールフリーだからオッケー」
「オールフリーって悲しくないの?」
「予定みっちりしてるよか気ままで楽」
「…それもそうだね」


まあともかく、明日はマロンの追跡に挑む。狭い抜け道とかだとどうしようもないけれど、最善を尽くそう。……うん、なんかベストを尽くすところを間違えてる気がするけど。




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真実はいつも一つ!=コナン
バーロー=コナン
蘭=コナン


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