会ったの久しぶりだね!からの晩ごはん一緒にどう?、だ。今日の晩ごはんをどうするか、風呂に浸かって考えていたからとてもありがたい。ちなみに祐造さんからお誘いを受けた。患者の権蔵さんから野菜を沢山もらったから鍋でもしよう、とのことだ。鍋は多いほど楽しい。シメはリゾットにする?なんて会話を交わしながら祐造さんの家にお邪魔させてもらう。大きな一戸建てで、1階が仕事場だ。おばあちゃんの背中を押しながら階段を上ると、大きな段ボール箱が顔を覗かせた。 「琴音ちゃん、一緒に野菜を切りに行かない?」 「うん!」 ああ、いつ見ても祐子さんは綺麗だ。化粧負けしない整った顔にきめこまやかな肌。穏やかで寛容な性格。欠点なき完璧な女性。羨ましい、私の憧れの人だ。 「鍋持って行くから食材をお願いするね」 「は、はい!」 効率もいいし、私が男なら絶対結婚してたな、なんてこっそり思う。実は私が小さい頃、いつも遊んでくれた近所のお姉ちゃんは祐子さんだ。ビーズでネックレスやブレスレットをよく一緒になって作ってたな。あげる相手は大抵おばあちゃんなんだけど。金具を使ったりしてたから、小学生のビーズ遊びにしては少しレベルが高かったんじゃと今では思う。作るのも楽しいし、人にあげるのも楽しい。喜んでもらうために、時間をさいて一生懸命になった。 「なんじゃ今日は肉が多いのう」 「よっしゃ!」 「体育会系の男の子にとって、肉は活動源だもんね」 「丸井先輩もいないからゆっくり食える!」 「…丸井先輩?」 「えっ、あー部活の先輩。超大食いでさ、肉とか全部とっちまうんだよ」 「うわわ、死守するのに大変そうだね。赤也君の先輩、どんな人なんだろう。会ってみたいなあ」 「あー……」 そう言うと、赤也君は少し難しい顔をして視線をそらした。あ、悲しい思いをさせてしまったんだと少し後悔した。 |