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トリップ願望者がトリップするとこうなった

0525 17:34

普段通り寝て起きたら全く見慣れない部屋の天上。おいおいここはどこだと立ち上がり部屋の中を右往左往。必要な什物はあったがやはり部屋の内装も構造も全く違っていた。嗜好品なんかは一切なく、モデルルームのような部屋だった。もしかしてこれは、トリップしたのかもしれない。次第に胸から熱いものがどばっと流出されたように興奮が沸き上がる。私はこのトリップをきっかけに変わろう、キャラと関わって楽しく過ごそう。そう妄想しながら居間に出ると、机上にある茶封筒が視界に入った。はみだした白長い紙が読んでと言わんばかりに顔を覗かせているように見える。もしかしたら、この現状に関わってくるものかもしれない。私はゆっくり白い紙を抜き取り、折り畳まれたそれを開いた。

[あなたは立海大付属中学へ明日から通ってください。通帳の金額はいくら使ってもかまいません。]

封筒を逆さに向けると重力に従う通帳が一冊と家の鍵が出てきた。唖然とした。私は、夢小説が好きな大学生だった。非現実的だと、不可能だと分かっていてもトリップなんてしてみたいと思った。神様に会ってどうたらしてはいじゃあさようなら。目が覚めたらそこはもうテニプリの世界。何度も憧れた。そんなことが起きれば、私はきっと毎日が幸せなんだろうと。確かいつの間にかトリップ、なんて小説もちょこちょこ見かけたような気もする。けれどこんなに殺伐としていただろうか。通帳と家の鍵と、明日の予定だけが書かれた紙一枚。たんすの引き出しにはシャツ一着入ってすらないもぬけのから。クローゼットに制服が吊っているだけだった。冷蔵庫も食器棚も浴室も、トイレットペーパーすらなかった。いかにも"必要そうな家具だけ揃えた"ような家。怖い。なんだこれ。こんな内容の小説なんて見たことない。少なくとも描写はなかったものの、下着やトイレットペーパーくらいはついていただろう。モデルルームの全貌を知ってしまった私はただただ愕然とした。

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ってな感じで始まるトリップ連載、いいかもしれない。少し深くしたい。

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