笑い上戸
「見て! シリウスの真似!」
「何やってんだよ」
ジェームズのくだらない真似ごとにシリウスが「全然似てねーよ」と鼻で笑う。
「いやいや似てるだろう? 飽きるほど見たシリウスの仕草、特徴、癖、完璧だろ!」
鼻で笑うシリウスを無視したジェームズがリーマスに問いかけるがリーマスも「うーん……」と微妙な笑みを浮かべている。
「ナマエ! ナマエはどう思う?」
シリウスの声真似までしながらそう問いかけてきたジェームズに、しかし声を発したのはリーマスだった。
「ナマエ、どうしたの?」
「ふふふ、はは、あははは、ふふふふふ」
何故か笑っているナマエにリーマスが「ねえ、そんなに面白かった?」と問う。
「ごめ、はは、ちょっと待って、くくく、ふふ、ははははは」
屈みこんで腹を抱えて笑うナマエに、ジェームズが「さすがナマエだ! 僕の理解者!」と歓喜している。
「ああ、また始まっちゃった」
「ハマるとなかなか抜けないからなぁ」
肩を小刻みに震わせるナマエは時折苦しそうに涙を浮かべながらヒーヒー言っている。
「何がそんなにおもしろかったんだ?」
「さあ?」
「ナマエの笑いのツボ、ホント浅いから」とあきれた様子のリーマスは、ナマエのそれを何度も見てきた人物の一人だ。
シリウスは理解出来ないといった様子で、けれども笑い続けるナマエを面白そうに見ている。ジェームズは何か叫んでいるがこの際無視する。
「なあ、こいついつまで笑うんだ?」
「だいたい十分くらいは続くと思うよ」
慣れた様子のリーマスはナマエの背を撫でながら「ほら、落ち着いて」と話しかけている。まるで酔っぱらいの看病だ。
「ははは、ちょ、見た? 今のやばい」
何がそんなに面白かったのかは別として、満面の笑みで笑うナマエを見るのは悪い気はしないとリーマスは微笑を浮かべて「はいはい、面白かったね」と相槌を打った。
笑いのツボ浅い子が書きたかっただけ