財前光の悩み事





観覧注意:こちらの作品に出てくる財ユウが完全にエセ関西弁になっております。それでも宜しければどうぞ…! 




財前光には悩みがあった。 
最近、どんなAVを見ても、エロゲーをしても、勃たなくなってしまったのである。
こんなことは初めてだったので、ネットで「勃たない/原因 」で検索して見たけれど疲労とかストレスとか、なんか違うなと思う結果ばかりで、全く役にたたない。
最初はまあ、そのうちなんとかなるだろ安易に過ごしていたが、二週間を過ぎたあたりで流石に不安になってきた。

「ユウジ先輩、ちょお質問してもええですか?」
「おん、財前から質問とか珍しいな。なんや?」
「ここ数日、何しても全然勃たへんのですわ」

ユウジはブホォと飲みものを吹き出す。
「驚きすぎやろ」と財前は嫌そうに眉を潜めたが、普段あまり自分のことを話さない後輩が、突然爆弾を投下してきたのだから、驚いて当然である。

「ど、どアホ!ぶ、部室でそんな破廉恥なこと言う奴あるか!ちゅーかなんでそないなことを俺に?!けけけ謙也とか蔵とかでもええやろ!」
「いや、今目の前にいたのがユウジ先輩だったんで」

と、口ではいいつつ本心は白石や謙也に笑われるのが嫌だったというのが本音である。
なんとなくユウジの性格上茶化したりすることなく、真剣に考えてくれそうな気がしたのだ。

「あーーーええ……マジか……」

財前の想像通り、ユウジは返答に頭を抱えた。
どうすればいい?どう答えれば……。

「うーん、俺にもようわからんけど………単に好みが変わっただけの可能性もあるんやし、いつも見ないようなタイプの子とか、シチュのビデオとかでしてみたらええんとちゃう……?」

ユウジの提案はそれこそ、思いつきではあったが財前はなるほどな、と思った。
確かにそれも一理ある。と、いうことで帰宅後早速実践してみることにした。



+++


「好みの変化……」

といっても、手当たり次第にAVを見ていくわけにもいかないし、それを探り当てるのはなかなか難しいものである。
せめてユウジのオススメ作品でも借りれば良かったと、後悔したところで財前はふと思った。

(ユウジ先輩ってAVとか見とるんかな、それともやっぱり小春先輩がオカズなんやろか……)
(……あの人、そういうことしとるとき、どんな顔してどんな声出しとるんやろ)


財前は目を閉じて、想像する。

『ぅ……ぁひか……る……ッ……』


部屋の片隅で、自分をオカズにユウジが一人でその行為を行っているのを想像したあたりで、財前は自分の下半身の違和感に気がつき、目を見開いた。

「はぁ……!?」

嘘やろ、と声にならない叫びを上げる。





(ユウジ先輩のオカズが自分やったらええのになんて…………)
(俺、頭可笑しいんとちゃう?)





部屋の片隅で一人うなだれる。
さて、明日ユウジとどう顔をあわせようか?


こうしてまた、ひとつ財前光に新たな悩みの種が生まれてしまったのだった。 
 





end

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