たまには。



今日中に提出してもらわなければ困る大事な資料がまだ完成していないらしく、生徒会長の丹羽は期限を延ばしてほしいと直々に会計室にやってきた。


「そこをなんとか!頼むよ郁ちゃん」
「しつこいぞ」

私が、そう言って踵を返すと丹羽は甘ったれた声を出す。

「そりゃないって〜」

本当に、どうしようもないやつだな。
こんなことで生徒会長がよく務まる。
まあ、確かにコイツは判断力には長けているし、表舞台に立って学園を引っ張っていくのには向いていると思う。
だから、もう少しこう言った部分を直してさえくれれば……ああもう仕方がないな。

「こんなところにいる暇があったらさっさと仕事に戻ったらどうだ?」
「うぅっ」
「私も手伝ってやるから」

こんなの、自分らしくないことぐらいわかっている。
だけど、なんか今日は気分がよかった。

「本当か?!!!」
「私は嘘は言わない」

別にお前を助けたいわけじゃなくてあの資料がないと先へ進めないんだ、と訂正をいれてみたものの、どうやらアイツの耳には入っていないらしい。

「恩にきるぜ!郁ちゃんっ!愛してるっ」
「愛してるとか言うな!その呼び方はやめろ!//」

少し朱くなってしまった顔を隠すように丹羽から顔を背ける。
丹羽は不思議そうに首をかしげると、心配そうに眉を潜める。

「な、なんでもない!先に生徒会室に行ってろ!私はこの仕事を片付けたら直ぐ行く」

私がそう答えると、丹羽は「了解」と笑い、嬉しそうに生徒会室に向かった。

「はあ、単純なやつめ」

憎まれ口を叩きつつも、どこか楽しみな自分がいる。
いつも自分になんだかんだ言い寄ってくるアイツの存在が、だんだん大きくなっていることに気が付くのはそう遠くはないだろう。





end




___

郁ちゃんにデレデレな丹羽が好き。
丹羽にツンツンデレデレな郁ちゃんも大好き。
このCPこそ(以下略)

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