僕が明日を願う理由



まあ、そんなことだろうとは思っていた。
明日も早いというのに、ユリウスはいつものように夜遅くまで研究に励んでいる。
後ろに僕がいることさえも気がつかない熱中っぷりだ。

「……あ!もしかしてこのタイミングで土属性の魔法を与えればこれがこうなって……」
「……ユリウス」


ノエルは少しイライラしたように呟いた。
こちらの気もしらないで、毎晩毎晩懲りずに研究に勤しむユリウスの姿が今のノエルには無償に腹がたったのだ。
ノエルの存在に気がつくと、「何?」とでも言わんばかりに首を傾げるユリウスには呆れてものも言えない。

「部屋に戻って来ないから来てみれば、また懲りずにこんなことをして、体でも壊したらどうするんだ!」
「あとちょっとで完成しそうなんだ!ノエル、それより協力してくれないか?」
「今からか?馬鹿を言うな。もう3時だ、とりあえずはやく寝ろ」

しかしユリウスはまだ「でも……」とためらっている。
これにはさすがのノエルも声をあらげた。

「いい加減にしろユリウス!僕はお前ごときの為に毎晩毎晩心配してゆっくり眠れないんだ!」

しまった、とノエルは思った。
またこいつに余計なことを言ってしまった。
思わず頬を赤くするとユリウスは「心配してくれてたの?」と意地悪っぽく微笑む。
ノエルは少し裏返った声で「違う!」と否定していたが、ユリウスはどこか嬉しそうに笑っていた。

「ノエルに心配かけるのは悪いと思う。だから今日はもう寝る。実験の続きは明日やるよ」

ユリウスは本を閉じると脇に抱えて椅子から立ち上がる。
するとノエルが「待て」とあるきだすユリウスを呼び止めた。

「何?」
「お、お前がどうしてもと言うのなら明日、その実験とやらの協力してやる」

ユリウスは目を輝かすと「うん!」と頷く。
ノエルは照れているのか「ふん」と踵を返すと部屋に戻ってしまった。

「俺も部屋に戻ろう……」

はやく明日にならないかな、とユリウスは思う。
きっと意味がわからないくらい明日が待ち遠しいのは……。


「……うん、きっとそうだ」

楽しそうに頷くと、ユリウスもノエルの後を追うように部屋へと戻っていった。



end


―――
2人はなんだかんだで仲良しだと思う!
こういう関係大好きです!!

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