お裾分け(実兎様)
よく晴れた7月。
気温も35度と真夏の気候は、ヴォルフラムの体にあわないらしくうなだれていた。
ユーリは普段から真夏の快晴な空の下で野球をしているのでヴォルフラム程にはならないが。
「あついー…」
「ヴォルフ、大丈夫か?」
ぱたぱたと自製のうちわでヴォルフラムの顔を仰いでやるが。
「生ぬるい…」
「あ、ごめん」
それでもこのわがままプーを満足させることはできなかった。
夏か…。
おれは、いつも夏になるとどうしてたっけ?
クーラーの効いた部屋で、スイカを頬張りながらアイスくいてーみたいな…
「そっか、アイスか」
「ユーリ?」
でもこの眞魔国にそんなものあるはずもなく。
だが、ふと思いついたように、ユーリは自室を飛び出して行った。
「………こんなに暑いのに、あいつはなんであんな元気なんだ…」
ヴォルフラムが呟き、暫くユーリのおいていった自製のうちわで仰ぐ。
生ぬるい風がヴォルフラムを包んでいくが、ないよりはましだと仰ぐことを続けた。
暫くして、ユーリが帰ってくると。
「ふぉるふ、ほははへ」
「は?」
ユーリはなんて言った、といいかけるヴォルフラムのそれに自分のそれを重ねる。
「んっっ…」
徐々にそれは深くなり、愛を確かめあうような激しいキス。
「ん?」
ユーリが満足したというように、唇を放すと、ヴォルフラムの口内で違和感を感じた。
「どう?」
「冷たい…」
ヴォルフラムは口の中のそれをコロコロと転がしてみると、それは冷気を発し冷たい水へと徐々に変化していく。
「これ…」
「氷。少しは暑さ、紛れるだろ?」
お裾分け、と笑いながら言うユーリに、ヴォルフラムは自分の頬に熱を感じた。
「………」
「ヴォルフ、どうした?」
「口移し…」
「!!」
かああぁ、とユーリの頬も赤くなっていった。
「気付いて、なかったのか?」
「い、急いでて…。おれも食いたかったし…」
「このへなちょこ」
ユーリに与えられた氷を頬張りながら、これなら夏も悪くないと思うヴォルフラムだった。
-END-
→夜月実兎様よりキリリク小説
も、萌えっ!!
もうユーリ、無自覚ですか?!
そんな、もう!!
ていうか、ヴォルフ可愛過ぎです!!
あああ!!
もう、ギュン汁がっ(動揺)
やっぱりユヴォはこうでないと!!!
凄く素敵な小説ありがとうございました!!
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