※女体化※女子口調


今考えれば薄々気づいていた。それを見て見ぬフリをして現実から目を背けていたんだ。きっとその現実を受け入れてしまえば最後、私達の関係は脆く崩れ去る。私はそれを受け入れたく無いが故に知らん顔をし続けていたのに、何がいけなかったのだろう
赤司ちゃんの綺麗な顔がゆっくりと離れていくのを見届ける。白い肌、ぱっちりと開いた瞳、長い睫毛、淡いサーモンピンクの唇が唾液によって卑猥に輝きをもつ。舌なめずりした舌の赤さに少し恐怖を覚える。怖さで震えた唇を噛み締めると鉄の味がした

「駄目よ、血が出てる」
「………なんで?」

なんでこうなったんだっけ。赤司ちゃんとは中学入学当初からの付き合いで仲の良い一番の女友達だった。才色兼備の彼女の友達である事が私は少し自慢だった。赤司ちゃんはお金持ちで私なんかと比べ物にならない位すごい子なのに、それでもみんなや私に分け隔て無く接してくれた。だけどいつの日だったか急に赤司ちゃんは私以外の周りの子を避けるようになった。次第に私と二人でいる事が多くなった。理由を聞いたら「他の子といてもつまらない。私を理解してくれるのは名前だけで良いわ」と。今考えればこの時から赤司ちゃんはおかしかった。うっとりと見つめ少しだけ頬を染めまるで愛しい恋人を見るかのような瞳で私を見てくるのだ。たぶんこの時から薄々赤司ちゃんが私に気があるのが理解できた。赤司ちゃんの熱い視線は毎日私へと向けられた。その視線に気づいていたのに私は毎日知らないフリをし続けた。それが…いけなかったのかな

「なんでって…私ずっと名前のことが好きだったの。小さくて小動物みたいで本当に可愛いわ」
「そんな…私達友達でしょ…?」
「私は友達だなんて一回も思ったことない」

肩を掴まれ私の身体が少しだけ宙に浮く。目まぐるしく変わる景色の終わりは教室の天井であった。訳も分からずコンクリートで固まった天井をじっと見つめていると鮮やかな赤に視界を支配された。赤司ちゃんは少し罪悪感が残るような表情を一瞬みせて、ごめんなさいと謝った。
その謝罪は私を押し倒した事にか、はたまた私に恋をしてしまった事かは誰にも私にも分からない。

「好きよ名前愛してる」

彼女の唇が私の呼吸を奪う。