レギュラスの彼女とセブ

2014/09/16 00:55

ひとえ純血主義といっても細かく見ていくと寮内でも微妙に思想の違うものがいる。これは自分のおかれている状況におおきく起因していて、たとえば僕の場合だったら、言いたくもないがマグルと魔法使いの間に生まれた子で不遇な扱いを受けることが多く、純血だけの世になればそんなこともなくなるはずだという、大まかに言えばそういう思想を持っている。
レギュラスブラックは名家ブラック家の次男で、次期当主になる男だが、これの彼女というのがレイブンクローの女で、一応は名の通る貴族である。
彼女とは血に関する談義はした経験がないが、とくにこれといってそんな血まなぐさい話を耳にしたことがなく、政略結婚を謀っていないのであれば、たがいになぜ恋人関係にあるのか、いまいち理解しがたい。

「正直、わたしは純血主義とは少し違う気がするの」

そういった女はたいくつそうにテーブルに肘をついて嘆息をもらした。

「世界を変えるだとか、そんな重い話じゃないの。わたしは、わたしの家が貴族である所以を考えたら、純血であったほうが自分のしあわせが続くだろうって考えているだけ。でもそれにレギュラスは関係ないの。レギュラスは素晴らしい人よ。私って、少し頭が良くて、少しハンサムで、とってもかわいそうな人が好きなの。」
「あいつのことをどうして哀れんでいるんだ」
「だって、次男なのに、ブラック家を継がなきゃいけないのよ。シリウスは若気の至りとはいってもあんな感じだし、かわいそうよね。」
「むしろ、ラッキーなことなんじゃないか?それに、お前はそんなかわいそうなやつの未来の伴侶なのだろ」
「ラッキーねえ」
「いつかお前も死喰い人になるんだ、その覚悟はあるのか」
「ずいぶん直接的な単語を選ぶのね」


「レギュラスはああだから良いのよ。あれでシリウスみたいな性格だったら好きじゃない。ちょっと陰のある男の子の方が、アンニュイで良いでしょ。なんか、レギュラスって、思わず助けたくなるような顔してるの」
「答えになっていないぞ、まるで」
「レギュラスの行くところに私はどこまでも着いて行こうと思っているわ」
「そんなチンケな理由で最後まで添い遂げられるのか、奴に」
「大丈夫よ。愛の力って、偉大なんだから」


そう不敵そうに笑った彼女はやはり何を考えているのかはたまた何も考えていないのか、アホとも食えない奴ともいえるような表情を浮かべていて、しかしこれだけはいえることがわかった、女っていうのは、リリーのような聡明な女性をのぞいて、話の大本からそれて会話をしたがるということ、その証拠にもうこいつはさっきの話なんてどうでもいいというように、大広間に入ってきたレギュラスを見かけると大きく手を振って、ますますレギュラスがこの女を選んだ理由がわからなくなった。まあ、僕にとってはどうでもいい話だ。



前へ | 次へ


コメント
前はありません | 次はありません
名前:

URL:

コメント:

編集・削除用パス:



表示された数字:


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -