無題

2011/03/08 19:27

ずっと前から君に恋い焦がれていた。
灼けるような熱さに身を置いて、それに浮かされた私は、なんともいえない苦しさにもがいている。息がつまるほどに昂った思いは、ひたすらに私を戸惑わせる。そして、困らせる。甘美で酸味のある刺激的な果実を、口一杯に頬張るような感覚は、かわいらしい恋心と言えるだろう。ただあなたを求めるその貪欲なまでの思いに、君は気づいていないことだろうと思う。私は、ずっと前から君のことしか見ていないのに。幸福感はあるけれど、満たされる感覚はない。この銀色の盆に、君の視線が注がれたなら、私はいかほどの満足感を得られるだろう。金の杯からあふれでる欲。涙に乗せて、この甘酸っぱい恋心も、どろどろした執着心も、私の思いの丈全部、あなたに届いてしまえばいいのに。そしたら、その時だけでも、あなたの意識は、私だけのものになるでしょう?



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