みどりの日(後編)

「さて、それじゃあ順番に自己紹介していきましょうか!」

金髪の男がなんだかんだで仕切ってくれる。これはもうリーダーはこいつだなと思っていたら「じゃあ1番お願いします。」と話を振られた。まさかトップバッターを任せられるとは思わず一瞬えっと声を上げたが順番なんて対した問題ではないのでそのまま続けることにする。

「セナだ。よろしく…。」

質素すぎるかとも思ったがさほど気にしてはいないらしくそのまま自己紹介が続く。3人の声に耳を傾けこれからこいつらと毎日を過ごすのかと想像してみる。しかしやはりまだ何も知らない他人だ。どうなるのかはさっぱり想像できなかった。仲良くできるのか、はたは馬が合わないのか。まあ、金髪の男は好印象だしなんとかなるか。

「リンネです。まだ慣れないこともあるし迷惑かけちゃうかもしれないんですけど精一杯頑張ります!」
「……。」
「あ、こっちはトキって言います。彼、無口なんですけど根は優しいので仲良くしてあげてください。」

リンネが代わりに紹介し、それにトキが頷く。知り合いなのか。

「最後は僕ですね。リョクと申します。学院には2年前から通っているので分からないことがあればなんでも聞いてください!」
「ん?リョク?」
「はい?」

リョク?どこかで聞いことがあるな…。思考を巡らせ考える。ふと、親友との会話を思い出した。


「あっ、あんたもしかして鈴花の元チームメイトか!?」
「おや、お知り合いですか?」
「親友だよ。」
「そうでしたか!それはそれは。最近会っていないんです。元気にしていますか?」
「ああ、元気だよ。」

それはよかった。と微笑みさて、と手を叩く。

「今日からこのメンバーで活動していくわけですから、皆さん仲良くしましょう!」
「よろしくお願いします。」
「よろしく…。」

こちらこそ、と相槌を打つ。なんだかんだうまくやっていけそうだ。

「先にリーダーを決めておきましょうか。」
「あんたチームでの活動は経験しているんだろ?私達は今年入学したばかりだから、何も分からない。あんたがやればいい。」
「確かに…。」
「私も賛成です!リョクさんさえよければ!」

私の提案に2人も同意を示す。彼も嫌というわけではないらしい。分かりました、と渋ることなく了解してくれた。

「それじゃあ僕がリーダーを務めさせてもらいますね。それじゃあまず戦力を知りたいので自分の能力を教えてもらっていいですか?」

ポッケからメモ帳を取り出しトキ君からお願いしますと促す。今度はコクリと頷き自分の口で話し始めた彼にちゃんと喋れるじゃないかと思ったが口にはしないでおこう。

「緑…と黄。」
「緑と黄ですね。」

さっとメモをとり次どうぞとリンネに振る。

「緑です。」

ん?と違和感を感じた。それもそのはず。私の能力も今は緑だけだ。トキもリンネも緑を持っているということは既に3人が緑の能力者なわけだ。バリエーションに詰まるな。

「私も緑だ。」
「おやおや。」

最後に答えればリョクが困ったように顔をしかめた。その時点で既に予想がついた私は逆に感心してしまった。

「僕は緑と青です。まさか全員緑の能力者とは…さすがに驚きですね。」
「偶然ってすごいですね…。」

リンネが驚いたように呟く。まったく、なんて偶然だ。今の時点で能力のバリエーションは3つしかない。どうやら難しいことになりそうだ。

「もしかしたら運命かもしれませんね。…なんてね。」

冗談交じりで笑う。それにつられてリンネもふふっと笑った。トキの表情は崩れていないがどこか楽しそうだ。

「まあ、これから少しずつ考えていけばいいさ。」
「そうですね!」
「チーム名はどうしましょうか?」
「………グリーン。」

少し溜めてから時がぽそりと呟いた。私達はキョトンと瞳を揺らす。が、すぐにぷっと吹き出した。

「そのまんまだな!」
「でも、いいんじゃないですか?ぴったりですよ。」
「はい!私も賛成です!」
「…。」

こうして、私達はチームグリーンとして、出会った。
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