「知ってるアルか?今年はうさぎの年アル。」

「そうだねィうさぎ年だねィ。」

「夜兎は漢字で夜のうさぎアル!だから私の年ネ!敬うヨロシ!」

「バニーガールの格好でもしてくれたら考えてやるぜィ。」

「オメー敬う気無いダロ。」

新年の挨拶も無しに敬えだ?
年明けの浮かれたヤロー共のせいでこっちは警備強化で仕事だっつーのに敬うなら俺を敬え。

「お年玉が欲しいアル!」

「ちょ、おま、何言ってんの?俺の落とし玉欲しいとか、はじめから俺の貞操狙いだ「死ねヨ。」冗談に決まってらァ。」

最近のガキは冗談が通じねえから困る。
ケッと唾を吐いたチャイナは本当に女だろうか。さっき後ろから声をかけてきた時の笑顔は見る影もない。ああ、笑顔で駆け寄られる程にまで昇格した自分を褒めてやりたかったのに。

「年玉ねィ。俺もまだ貰えるはずなんだけどねィ、どうしたもんか。」

「ゴリとかくれそうなのに貰ってないアルか?」

「近藤さんも仕事で出突っ張りでさァ。新年会も今夜やっとでき、ヤベ。」

しまった。旦那たちに忘年会をむちゃくちゃにされたから新年会は秘密にしようと全員で決めてたんだ。気づいた時にはってヤツで目の前のチャイナの大きな瞳は爛々と輝いている。なんて邪な輝きだろうか。

「ィヤッフーー!!またタダ飯アル!」

「ちょ、ちょっと待て!」

「何アルか?」

うさぎさながら飛び跳ねて帰ろうとするチャイナの首根っこを掴む。嫌々振り向いたチャイナには悪いが帰すつもりはない。この際被害は最小限に抑えなくては。

「……チャイナだけなら年玉やってもい、いいぜィ?」

「どういう意味アル?」

「旦那達も欲しいとか言い出すだろィ?だからチャイナだけなら近藤さんも土方のヤローも年玉くれると思うんだけどなァ。」

「ジミーも?」

「おう。」

「ムホーー!じゃあ行くアル!今行くアル!銀ちゃん達には秘密ネ!」

パシッと掴んでいた手を叩かれそのまま手を握られた。ブンブンと振り回され肩が外れるかと思ったが隣を歩くチャイナがまた笑顔になってたから良しとしよう。

悔やまれるのはチャイナのミトンの手袋が邪魔なこと。それでも毛糸伝いに握られている手の感覚に口元が緩む。

「何してるネ!急ぐアル!」

「まだ仕事中でさァ。」

「ならさっさと終わらせるアル!」

このあとの巡回はずっとこのままで。屯所に着いたら俺と同じヘマをかました近藤さんと土方のヤローが旦那達を連れてるなんてつゆ知らず。今年は俺も年玉一人多めに貰えたことだし、代償が新年会なら俺としちゃ安いもんだろィ。



110112.
(総一郎くーん)(総悟ですぜ旦那ァ)(まぁまぁ、今年もうちのうさぎを宜しく)(言われなくても宜しくしてまさァ)(え?どういうこと?)(今年は飛躍の年ですぜィ?)(え?飛躍??)