「リーフ!」
「はー…い!」

ボン、という音を立てて空高く打ち上がったボールは、打ち上がると同時に地を蹴ったリーフの元へと一直線に向かっていった。
そして自分の元へと向かってきたボールをリーフは相手陣地に向かって勢いよく叩き付けた。

「あ!」

リーフの放ったアタックは打ち返そうと構えていたホリーの脇をすり抜け、白く輝く砂浜に吸い込まれていった。

「ああー…油断してた!」

思い切り後ろへ倒れ大の字になり顔を両手で覆うホリーを見たリーフは、俺の隣でくすくすと笑った。

「リーフのアタックは一番油断してはならないものだぞ?ホリー」

ジーンが軽くしゃがみ込んでホリーの顔を覗き込んだ。

「わかってるよそんなの!何回やられたか!はあ…リーフのアタック速すぎ」
「え?そうかなあ…?」

顔に掛かった緑髪を耳にかけながらリーフは心底そうかな?といった顔をしていた。
そんなリーフの頭(俺より頭一つ分小さい)の上に手を乗せてわしゃわしゃと掻き回した。

「わっ!」
「ははっ、ぐしゃぐしゃ」

もう!と言ってぐしゃぐしゃになった髪を手櫛で整えるリーフの頭を再度撫でると、リーフはきょとんとしていた。

「何してんのニース。リーフからその手どけてくんない?っていうかリーフに触るな、偶然今日同じチームになったからって調子乗るなよ」
「まったく同感同意見だがその辺にしとけ、ホリー。ニースはヘタレだからこれ位しかできないんだ。大目に見てやってくれ」
「ああ…挨拶のキスもできないもんな。果たしてそれでいいのやら」
「ちょっ、プライバシー!言葉の暴力禁止!」

体についた砂を払いながらネット越しに言葉の刃を突き刺してくるホリーと横槍を入れてくるジーンに俺は涙目だ。

「お前ら…俺が嫌いなのか?」
「好きではない」

即答するジーン、震えながら横を向くホリー。
おかしいな、俺こんなに涙腺弱かったっけ。

「リーフ…お前も俺のこと嫌いか?」

ゆるゆると隣のリーフを振り返ると、リーフの緑眼と視線がぶつかった。

「えっ、僕?そうだなあ…ニースは優しいしカッコいいし、お兄ちゃんみたいで僕は好きだよ!」
「リーフ…!」

涙腺崩壊、なんだこの天使は。
再びリーフを撫でる。

「お前は本当に良っ!」

顔左半分に鈍い痛み、ゆっくりとバレーボールが砂浜に落ちた。




∴ 議題、キャプテンの威厳とは
(本日の俺、終了。)



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -