佐久間の髪、綺麗だな。
突然俺の髪を掬いながら風丸が言ってきた。

「…そうか?」

そう返すと間もあけずに、ああ、綺麗だ。なんて返してきた。
なんか、少し照れ臭い。
髪が綺麗だなんて言われたことは多々ある。
鬼道さんにも言われたし源田や辺見、帝国の奴らは勿論、ここ雷門に来てからも言われた。
でもそれらとは違った感覚に襲われた。

「氷が溶けたみたいだ。キラキラしてる。あ、手入れもしてるんだな」
「あ、ああ…一応、な」

どうもこの男といると調子が狂う。
雷門に初めて来たときも一番最初に円堂と一緒に俺に話しかけてきた。
それからも頼んでもないのに校内を案内してくれたり、一人でいた俺に昼一緒にどうだ?と誘ってきたり、一緒に帰ろうと言ってきたり。
お節介な奴だな、と思った。
でも、一緒にいるうちにそれが心地好くなってきた。
源田もお節介な奴だったけど、…さすがに失礼だろうか。
そうだな、俺によく優しくしてくれたけど、風丸のそれはまた違った優しさのような。
言い表しにくいけど、なんか落ち着く。

「…風丸だって綺麗だろ」

俺の頬にかかった風丸の碧色の髪を一束掬う。
すると風丸は笑いながら、

「はは、ありがとう。でもかなり傷んでるんだ。佐久間には負けるよ」

その笑顔が俺には、眩しいくらいに綺麗だった。

「そうだ。今度佐久間の髪、いじらせてくれよ」

その提案に思わず、馬鹿じゃねえの?と言いそうになり何度も瞬きをしてしまったが、

「…いいぜ。なら、俺にも風丸の髪、いじらせてくれよな」
「ああ!もちろんだ」

こいつになら、いいかもしれないと思った、そんな昼下がり。




∴ 暖かな陽気は思考を狂わせる
(君の優しさは心地好い)



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