その涙は宝石のようだ、と思った。
ころころと溢れ出てくる宝石は、無惨にも一度地に落ちると音も無く散り散りに砕けてゆく。
ああ、勿体ない。
ただ光るだけの石ころなのに、人はそれを美しいと言う。
そうしてその思いは、俺の内にも確かに存在するのだ。
儚く飛び散ったその破片を掬って、この手に全て集める事が出来たら。
やっぱり、ダメだ。
この手の中にそんな綺麗な物を収める事は出来ない、きっと今度こそ、輝く石達は音を立てて壊れてしまう。
限界を知っている無力な手では、すぐに零れだして悪循環。
近づけない、触れられない。
汚してしまう、消してしまう。
この手が汚れを知っていなければ。
その瞳が無垢を宿していなければ。

「佐久間、さくま」

ああ、なんという無い物ねだり。




∴ その罪の甘さを知る
(故に、人は貪欲に成り行くのだ)




謎文。お相手は源田のようなそうでないような
また同タイトルで違うの書いたりするかもしれません…






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