リコ的【火月】学
「ねぇ、あの2人って付き合ってるの?」
誠凛高校男子バスケ部カントク、相田リコがぽつりと呟いた。
「…へ?いや…俺は知らねぇけ、ど「嘘よね?」
「……付き合ってるらしいデス…」
シャキーン!とリコの目が筋肉の引きつりを見抜き、日向はカタコトで白状した。
あの2人、というのは、火神と伊月だ。
日向の知る限りでは、2ヶ月程前から付き合っている。むしろ、今までリコにバレなかったのが奇跡的だった。
この事実を知っているのは、今の所は本人達と日向、そして黒子だけ…の筈だ。
しかし、リコに知られてしまった。
(やべぇな…女子って噂好きだし…いや、カントクなら大丈夫かもしれねぇけど…)
同性愛なのだ、知る者は少ない方がいいだろうと日向は思っていた。
アメリカ暮らしの長かった火神は同性愛について、普通の日本人より寛大だし、伊月も自分達の気持ちや関係を受け入れている。
日向は初めは戸惑いこそしたが理解がない訳でもないし、黒子に至っては、
「そうですか、良かったですね」
と軽く微笑んだくらいだ。
だがそれは、男同士だからこそではないか…とも日向は考えていた。
決してリコを信頼してない訳ではない。が、しかし、現代の日本ではまだまだ些かタブーな事だ。
どうでる……と、日向はリコを見詰めた。
ピーーーーーッ!!!
突如、鳴り響くホイッスル。
練習中に毎日鳴るが、音量が普段の倍近いのではないだろうか、と。
皆がビクッと動きを止めた。
トン、トン、トン、と転がっていくバスケットボール。
それらを後目に、カントクとしてのリコの声が響いた。
「全員集合!」
マズい、と日向がなんとかしなければと、頭を回転させようとした矢先…
「火神君と伊月君は付き合ってるのよね!!伊月君が受よね?体は大丈夫??腰は?あっ…みんな!2人をサポートしてあげるように!!カントク命令よっ」
唖然、とした。
一瞬にして静まり返った体育館のなか、真っ先に気を取り戻したのは、意外にもとでも言うべきか伊月だった。
「……薄情者が白状した!キタコレ!」
「ウゼェ!こんな時まで…いや、悪りぃ……すまん」
腐れ縁と言うべきか。
リコにバレたのは日向のせいだと伊月は瞬時に理解した。
しかしそこでダジャレを繰り出すのが伊月である。
「私は応援するわ!部活に支障が出ない範囲なら、どんどんヤってちょうだい!」
え、カントク変換おかしくね?ですか
という、火神の呟きは…その後小一時間続くリコの801トークショーにかき消された。
HappyEnd♪
[ 6/8 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]