小説 高山さんち。 | ナノ




高山さんちの躾事情
---------- ----------
 高山真司に、悲報。


 息子が手淫を覚えてしまった。


 あれから楓は、いつものようにおやすみのちゅーをし、時々キスをねだり、さらに時々手コキを要求してくる。

「父さん……おちんちん、また変になっちゃった。」

 困ったようにそう言ってくるから、処理してやらないわけにはいかないだろう。布団の中で、楓のパジャマとパンツを下げて性器を弄ってやる。まだ快感には慣れないらしく、戸惑いながらも俺の手で果てる楓。

 正直、かなりクる。

 楓、俺がどれだけ我慢してるか分かるか?いや、分からなくていい。隠し通したい。こんな、邪な気持ちをお前に知られたくない。
 汚くて、醜い感情を抱えたまま、俺は俺でオナニーする。楓が眠ってから、こっそりベッドを抜け出しトイレで吐き出す。

 その後の虚しさとか、自己嫌悪とかが、俺を潰しにかかってくる。

 潰れるわけにはいかない。俺は、楓の父親であり続ける。楓の前で、オスにはならない。なってはいけない。

 この行き場のない想いは、堰き止めておくしかないんだよ。

◇ ◇ ◇

 あの日から、ぼくは時々父さんに、変になったおちんちんを治してもらうようになった。ねる前に父さんとキスをすると、なんだか変な気分になって、おちんちんも変になっちゃうから。

 どうして、こんなふうになっちゃうのかな。
 父さんのキスは気持ちよくって、ぽわーっとして、すごくすき。ぽわーっとしてるうちに、おちんちんが固くなっちゃう。

 父さんに言うと、ちょっとこまったような顔をして、ぼくを治してくれる。治してくれるときの感じは、なかなかなれない。だって、かあぁって体がすごく熱くなって、つま先まで力が入っちゃって、ふるえちゃうんだもん。おもらししちゃったみたいなのに……気持ちいいんだもん。

 だからぼくは治してもらうの、ちょっとすき。でも、すきって言ったら父さんまたこまった顔をしそうだから、言わないんだ。

 ある日、ぼくは父さんの帰りを待ってリビングでテレビを見てた。
 おもしろい番組ないかなぁって、チャンネルを変えてたら、たまたまドラマのとあるシーンが目について。

 あ、ちゅー……キス、してる。

 男の人と女の人が。

 ぼくは、父さんとのキスを思い出してしまった。あ、あ、また……おちんちん、固くなってきちゃった。

 どうしよう……。

 父さんはまだ帰ってこない。治してもらえない。自分で、なんとかしなくっちゃ!

 ゴソゴソとおちんちんを取り出す。うう、さわっただけで、じわんとする。そっとにぎって、父さんがいつもしてくれるみたいに、ゴシゴシこする。

 ん、どんどん固くなってる……気持ちいい。

 でも父さんがしてくれる方が気持ちいい。父さんにしてほしい。
 父さんの手を思い出す。大きくて、あったかい手のひら。ぼくをやさしくつつんでくれる手のひら。
 あ、なんか出てきた。とうめいな、ぬるぬる……。さきっぽにさわると、それは糸を引く。父さんはこれ、おちんちんにぬるみたいにしてくれたっけ…、と思って同じように全体にぬって、またこする。

 さっきより手がよくすべって、もっと気持ちいい。気持ちよくって、勝手に手が動いちゃう。
 ……ん、なにかがせり上がってくる感じ。もうすぐ、アレがでる。白くてドロっとしたやつ。父さんがザーメンって言ってたやつ。

「あっ…あ、でそ……っ!」
「ただいまー。」

 このタイミングで、父さんが帰ってきたみたいです。

◇ ◇ ◇

 予定より少し早く会社を出ることができて、ホクホクで帰路に着いた。楓喜ぶかなー。早く楓の顔が見たい。

 今日も、玄関の電気はついている。うん、ありがとう楓。鍵を開けて「ただいまー」と声を掛ける。

 ……返事なし。

 いつぞやのことを思い出す。あの時はソファで寝てた。でも今日はそんな時間じゃない。どうしたんだろう。
 リビングのドアを開けた。ソファに、楓はいた。

 下半身丸出しで。しかもちんこ握って。

「か、かえで、」
「やっ見ないでとーさん……!」

 慌ててちんこを隠す楓。ごめん!バッチリ見た。楓がオナニーしてるとこ。真っ赤になった楓は、今にも泣きそうな顔。うわぁ俺も泣きそう!いろんな意味で!

「ごごごごめん楓、父さんあっち向いてるから早くしまいなさい!」
「ふぇ……ん、」

 素早く背中を向けて、見ないようにするけれど、楓はどうにも微妙な態度。「あの、あの……」と口籠っている。

「どうした?もうしまったか?」
「……ぅ、んと、ね?あのね……、」

 背後の楓は多分まだ真っ赤なんだろう。恥ずかしげに声を絞り出して、ああ可愛いんだけどさ、どうした。

「もうちょっとで、出そう、なの。」

 !!!?

 ほんっとにごめんね!俺ってば超イイトコで登場しちまったんだね!大馬鹿野郎だね!!

 くそっ、心臓がもたない。不意打ちに重ねてイキそう、だと?冗談じゃない。俺は部屋を出る。そうしよう。

「楓、父さん着替えてく」
「父さんにしてほしい。」

 勘弁して!!!

「なっなにを言って……、」
「ホントは父さんにしてほしくって、自分でやったの……。」
「楓…!」

 これ以上、俺の理性をぶっ壊すような真似はやめてくれ。背中に届くお前の言葉が、どんだけ鋭利に俺の心を抉ってるか分かってないだろ。正直、もう限界が近いんだよ。爆発しそう。

「自分でしなさい。」
「だって……、父さんがいいよ……。」
「駄目だ。」
「どうして?いつもしてくれるのに……!」

 泣くな。泣くな楓。頼むから……。お前を泣かすくらいなら、してやりたいけど、駄目だ。それだけで済まない。その先を求めてしまいそうで。

 楓、愛しいよ。

「……分かった。」
「あ……父さん……!」

 触れたいよ。

「自分でしなさい。見ててあげるから。」

 愛しいよ。

◇ ◇ ◇

 父さんが、見てる。

「ふ…ぁ、はっ…はぁっ、」

 父さんに、見られてる。
 はずかしいのに、気持ちいい。

「んっ、と…さん、」
「ここにいるよ。」

 父さんはぼくをじっと見下ろしてる。さわってほしいなぁ。いつもみたいに。

「ちゃんと手、動かさないと、いつまでもイけないぞ?」
「ぅ、んっ……ん、」

 父さん、父さん、見られてるだけって、すごくはずかしいよ。父さんにしてほしいよ。せめてさわってよぅ。

「とぅ、さ……ぁっ!」

 お願い、って伝わるようにみつめても、父さんは腕を組んだまま。どうしてさわってくれないの?ちょっとさびしいな。

 あぁ、でも、もう、出ちゃいそう。

 気持ちいい。
 さびしい。
 気持ちいい。
 さわってほしい。
 気持ちいい。
 ちゅーしてほしい。
 気持ちいい。
 キスしてほしい。

「す、き…ぃ、とぅさん……すき、っ!」

あ、くる……と思ったときには、びゅうっと白いものがぼくの手にかかってた。体がびくんってふるえる。目の前がいっしゅんチカチカした。

「よく、できたね。」

 父さんが、手についたザーメンをティッシュでふいてくれる。あーあ、ソファにもゆかにもこぼしちゃった。ちら、と父さんの顔をみたら、おこってはいないみたい。

「ごめんなさい、こぼしちゃった。」
「いや、いいよ。気にするな。」

 やっぱりやさしいんだね。苦しそうに笑う父さん。ニガワライ?っていうのかな。ティッシュをゴミ箱に捨てた父さんは、ぼくをだきよせてくれた。
 やっとさわってくれた。うれしい……!父さんのにおいだ。ごしごしって鼻をおしつけた。ぎゅうっと、しがみついた。

「父さん、自分でできたよ……?」
「ああ、がんばったな。いい子だ。」

 よしよし、って頭をなでてくれる。うふふ、うれしいな。父さんほめてくれた。

「先にお風呂に入っておいで。それからご飯にしよう。父さん、支度して待ってるから。」
「はぁい。」

◇ ◇ ◇

 楓が風呂場に向かう足音を聞きながら、盛大に溜め息をついた。

「はぁぁぁ……、っべー可愛い。」

 好きって言いながらイッちゃうとか、もう……。自制心が崩壊しそうになった。
いつもベッドでしてあげる時は、暗がりで顔がよく見えてなかった。だから、楓のイク顔をちゃんと見たのは2回目。しかも今回は楓が自分で……いかん、ムスコが元気です。

鎮まれぇ……!と念じながら、ちょっと遅くなった夕飯の準備。

 これで、楓は自分ですることを覚えてしまった。あああ、頼むから俺の隣でするのはやめてほしいなぁ。せめて一人の時とか、トイレで……。
 俺にねだることもなくなるだろうな。ホッとする反面、ちょっと寂しい気もするから本当に愚かだ。

 俺の欲求不満は、満たされることはない欲望は、どうすりゃ消えるんだろう。




[ 7/10 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -