高山さんちの性処理事情
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ぼくは、夜中に目がさめてしまった。なんとなくパンツの中が気持ちわるい。布団の中で、パジャマのズボンに手を入れて確かめてみると…べったべただ。
お、おもらししちゃった!?
もう小学六年生なのに!
そーっと父さんの方を見る。良かった、ねてる。気付かれないように、気付かれないように…。そろり、とベッドからぬけ出す。新しいパンツをタンスからひっぱり出しておフロ場に。
せんたくきの前でズボンとパンツをぬぐと、パンツには白い変なものがついてる。なんだろうコレ。おしっこじゃない…。
ぼく、変なビョーキなのかな?
◇ ◇ ◇
こそこそと布団から出て、もぞもぞと布団に潜り込んできた息子。こんな夜中に目が覚めたらしい。寝たふりをして様子を伺っていたが、どうしたことやら。
「楓、どうした…?」
ぴたり、と体をくっつけてきた楓に問いかける。楓は俺の胸のあたりから俺を見上げて、ちょっと困ったような顔をしている。
「父さん、あのね、」
誰にも聞こえないように内緒話をするように、楓は声を低くして答えた。
「ぼく、ビョーキかもしれない…。」
自分で言って自分でショックを受けてしまっている楓は、しゅんとなってしまった。ビョーキ、とはどういうことだろうか。
「何があったか、父さんに教えてくれるか?」
「あのね、なんか白い変なのがね、出たの。」
今度は俺がショックを受ける番だった。
「それ…パンツに付いてたの?」
「うん。」
ああ、やっぱり…!
「楓、大丈夫、病気じゃないよ。」
「ほんと?」
「ああ、男の子はみんな経験するんだよ。」
安心させるように抱き締めてやると、楓もぎゅっと抱きついてくる。うん、可愛い。
「じゃあ父さんも、おんなじことあったの?」
「ああ、あったよ。」
「ン、よかった。父さんといっしょだ、ぼく。」
すりすりと猫のように身を寄せてくる楓。頭を撫でてやると、すぐに寝息が聞こえてきた。
「はぁ…。」
腕の中で眠る我が子を、浅ましい思考で汚してる自分に対する溜め息だった。
翌日、帰宅してから、洗濯機に放り込まれた楓のパンツを確認する。なるほど、例の白いモノがこびりついていた。ううん。夢精、ですか…。
つまりはやらしいことができる体になったわけで。
「……俺、正気保てるかな。」
まだ自慰行為に耽る年頃ではないにしても、いずれその時が来るし。できれば中学上がるまではそういうことしない子でいて欲しいなぁ。俺の都合で。
駄目だ。考えたら負けだ。息子がムスコを慰めてるところなんて…!
「あーーーーーーーもーーーーーーー俺の馬鹿野郎っ。」
頭を抱えてしゃがみ込む。ああ、ムスコが。最近してなかったからすぐ反応する。駄目だ駄目だ。落ち着け。鎮まれ。
「楓、父さん仕事持ち帰ってきちゃったから、今日はひとりでお風呂入ってくれるか?」
なーんて、見え透いた嘘も素直に聞いて頷く楓に、罪悪感が湧かないわけがない。ああ駄目な父さんでごめんな。
楓がひとりで風呂に行ったのを確認し、俺はトイレへ。鍵かけてこもる。何するって、そりゃあナニするに決まってる。
スボンと下着をずり下げ、現れたソレは既に欲の容を成しかけている。右手で握って上下に扱けば、あっという間に硬さを帯びて完全に勃ち上がった。
「…っ、は。」
息も荒くなる。浮かぶのは、楓の顔。楓の体。なぁ、楓の気持ちいい顔ってどんなだよ。どんな風に気持ちいいことするんだよ。俺にされたら、どうなるんだよ。
先端をぐりゅ、と擦れば先走りが指の滑りを良くする。竿全体にぬめりをまとわせ、さらに扱きあげた。ぬちぬちと卑猥な音を立てて、快感を追う。
「ふ…、っく、」
楓、楓、楓。愛しい息子。愛してはいけない息子。ごめん、ごめんな。こんな父親でごめん。お前をめちゃめちゃにしてやりたいなんて、どうかしてる。お前を想いながらこんなことするなんて、どうかしてる。
この行為をする時、その名前を呼びそうになる。でも呼ばない。口に出してしまえば、本当の本当にあの子を汚してしまうような気がして。
「は、馬鹿だ…もう手遅れ…、」
こうして楓のことを考えながら自慰をしてる時点で、俺は楓を汚してる。その背徳感にすら興奮する。今の俺は父親じゃない。愚かで浅ましい、一匹のオスだ。
「っは……ん、ん!」
手に射精した。びゅる、と吐き出されるそれは、ドロドロとした自分の愛情そのもののようだ。
トイレにそれを捨てて、トイレットペーパーで手を拭う。まとめて、流す。
俺のこの醜い感情も、一緒に流れて行けばいいのに。
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