高山さんちの家庭事情2
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ここ数日、楓が妙にはりきって家事をする。何事だろうか。いや、お手伝いはいいことなんだ。ただ、普段しないようなことまでやるから、驚かされる。ガスコンロ使われた時は本当にヒヤヒヤした。
それに、写真。
椛さんの葬儀の後、遺品の整理をしたけれど、捨てられずに多くのものが残っている。
あの写真を見たのは久しぶりだ。大学時代の思い出。あちこちに引っ張り回されたっけ。
捨てられないくせに、見返すこともできないものだからしまいっぱなし。楓が見つけなければ、見ることもできなかっただろう。本当はまだ少し、見るのが怖い。椛さんがここにいない現実に、向き合わざるを得ないから。
楓は夕飯の後に宿題をし、いつも通り一緒に風呂に入る。なにか考えているのか、湯船の中で楓は爪先をじっと見つめて動かなくなっていた。楓は考え事をするとき、一点を凝視して不動になる癖がある。たとえば宿題をするときも、わからない問題があると、ピタッと止まりじっと動かなくなる。まるで考えることに全ての力を使っているようだ。そういうひたむきな姿勢も可愛らしい。
風呂から上がり、ドライヤーしたり歯磨きをしている間も、楓は考え事をしているようだった。
何をそんなに思い悩んでいるのだろう。少し気になる。学校で何かあったのか、それともさっき見つけた写真や椛さんのことか。
寝室に行ってもそんな様子なのだ。ベッドに入り、おやすみも上の空ではさすがに心配になる。
「楓、考え事してるだろ。」
「えっ?んーと……うん。」
「何かあったのか?」
うーん、とひとしきり唸った楓は、ためらいがちに口を開く。
「父さんが、喜んでくれることなにかなって、考えてたの。」
「俺?」
それは予想外だった。しかし、なんでまた俺が喜ぶことなんか。
「父さん、元気なかったから、元気になってほしくって……。」
ああ、俺の悩みなんぞ悟られないように振舞っていたつもりなのに、楓にはお見通しだったのか。それで俺を励ましたくて、そんなこと考えてたのか。
どうしよう。というか、どうしようもなく嬉しい。楓、お前の目論見は成功だよ。
「ありがとう、楓。」
抱きすくめ、髪にそっと口付けた。可愛い可愛い楓。愛しい楓。どうしてお前は、こんなにも俺の理性を揺さぶるんだろう。抱きしめるだけじゃ足りない。
「父さん、元気になった?」
「うん、なった。楓のおかげだよ。」
良かった、と腕の中で笑う楓。お前が笑っていてくれるだけで元気になれるのになぁ。その上、俺のために楓が何かしようとしてくれたなんて……!
「それでね、もうひとつ思いついたの。」
顔をあげた楓が、可愛らしく微笑んでいる。
「いつも父さんにしてもらってるから、今日はぼくが父さんにしてあげるね!」
……なにを?
◇ ◇ ◇
父さんが喜ぶこと、もっとないかなぁって考えてた。
写真を見て父さんは笑ってたけど、もっと元気になってほしくって。それに、母さんの大事にしてたペンダントもらったから、お返しがしたくって。
ぼくが、父さんにしてもらってうれしいことをしてあげたら良いんじゃないかって、おフロでひらめいた。
じゃあなにが良いかなっていっしょうけんめい考えたんだ。
それで、思いついたの。
「父さんにしてもらうの、すきだから、ぼくも父さんにしてあげたいな。」
おちんちん、さわってあげるの。
父さんのパジャマとパンツをちょっと下げようとしたら、父さんはあわててぼくの手をつかんだ。
「こらこらこら、なにしてる。」
「?……父さんがいつもしてくれることする。」
パンツの中に手をつっこんで、父さんのおちんちんをさわった。父さんはビクッとして後ろに下がって、ますます強くぼくの手をにぎる。
「駄目、やめなさい。」
「どうして?ぼく、これしてもらうの気持ちいいから、父さんにもしてあげたいのに……。」
「父さんは一人でできるから、楓がしなくてもいいんだよ。」
むぅ。ぼくだって、この前一人でできたけど、してもらう方がもっといいもん。父さんだってそうに決まってる。
「ほら、もう寝よう?」
「やだ。父さんに気持ちよくなってもらうの!」
ぼくは、つかまれてる手とは反対の手で、父さんのおちんちんをにぎった。これは父さんも予想してなかったみたいで、成功。ふふふ、これで父さんを気持ちよくさせてあげられる。
「いっぱい、気持ちよくなってね?父さん。」
◇ ◇ ◇
楓の可愛い微笑みが、小悪魔的に見える。
なにをするのかと思えば、おもむろにちんこ掴もうとするもんだから、慌てて止めた。俺がいつもしてやってることをする?おいおいおい。そんなの、駄目だろ。
しかし、駄目と言っても聞いちゃくれない。
こういうときの頑固さは椛さん譲りだ。やるって言ったらやる。そんなところ似なくて良かったよ!なんて思っていたら、なんと反対の手が俺のちんこを掴んでしまった。油断してた。俺としたことが……!
「いっぱい、気持ちよくなってね?父さん。」
加えてこの殺し文句である。
「か、楓、やめなさい、本当に。いいから、父さんもう十分だから。」
楓は聞こえないふりをして、ちんこを掴んだ手を動かし始めた。
ぎこちない動き。不慣れな手つき。愛おしくさえ思えるが、駄目なんだ。駄目なのに、俺ときたらしっかり反応するんだから!
「楓……!」
手を振り払おうと思えばできる。なのにしないのは、浅はかな欲求。
もっと。もっと。もっと。欲しい。楓にさせたい。
「父さんの、おっきい……。」
楓の小さな手中で、むくむくと膨れ上がる欲望の塊。部屋が暗くて良かった。自分のモノとは違うグロテスクな物体に驚いてしまうだろうから。
もどかしい性感に知らず知らず緩んだ俺の手をすり抜けた楓の右手も、肉棒を扱き始める。両手で恐る恐る刺激を与えられ、まるで羽毛で腹をくすぐられるような、かすかな快感でも俺は完勃ちした。なにせシチュエーションがシチュエーションなだけに、興奮せざるを得ない。
「……もう少し、強く握っても大丈夫だよ。」
楓の手に自分の手を添えて、そっと力を込めた。それに従って、楓の手にも僅かに力が入る。さっきまでよりもはっきりとした快感が思考を占める。
違う。本当はこの手を離させなければならないのに。なんで俺は快楽を追ってるんだろう。でも、もう少し、あと少しだけ、この悦びに溺れていたい。
じっと楓を見つめる。一生懸命手を動かしている。加えて、腰のあたりをもじもじさせている。
「もしかして、楓も大きくしちゃった?」
「あ……っ!」
パジャマの上から楓の股間を触ると、固い感触。ふにふにと揉んでやると、楓は身を捩って抵抗する。
「やっ、今はぼくが父さんに、してあげてるのにっ……!」
怒ったような、困ったような顔。負けまいと手を動かそうとしているのに、どうやら力が入らないらしい。反応が可愛らしくて、もっと楓のモノを揉んだ。
「はぁ…っ、あ、やだよぅ……。」
とうとう楓は俺から手を離して、今度は俺の手を掴んで離そうとし始めた。か弱い抵抗だ。
「じゃあ楓も一緒にしよう?」
「ふぇ?いっしょ……?」
楓のパジャマをずり下げ、勃ち上がっても可愛げのあるちんこを取り出す。楓はまた少し抵抗したけれど、お構いなしに俺のモノと楓のモノを一緒に握り込んだ。
「ほら、こうして、一緒に擦るんだよ。」
「え……っ、あ!」
二つをゆっくり扱き合わせると、裏筋同士が擦れ合って気持ちいい。それは楓も同じようで、ピクピクと体を震わせている。
「は、ぁっ……は…っ、はぁ……!」
「ん……っ。」
悶える楓に愛しさが込み上げる。同時に射精感も。手の動きを速め、さらに快感を与えると、楓も絶頂が近いらしく一層嬌声を上げた。
「はぁ、っ、あ、あ……ひゃ…っ!」
先に楓が果てた。ぴゅうっと飛んだ精液が手を濡らす。そのぬめりを借りて、責め立てた。続いて自分も射精した。
「っく……!」
「あ……ん、父さんも、きもちい?」
まだ息の荒い楓が、顔を覗き込んでくる。ああ、頼むからそんなに見ないでくれ。欲に負けた馬鹿な男の顔なんか。
手に残る白いものに、罪悪感が込み上げる。楓と、俺の……。
「父さん……?」
「ん、ありがとう楓。気持ち良かったよ。」
「ほんと?よかった!」
お前が喜んでくれるのは嬉しいんだけど、俺の気分は最悪だ。
ほんっと、最低。
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