小説 藤枝さんと吉川くん | ナノ




Chapter.73
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二度目の告白を受けたタクトの瞳が、潤んでる。
ああ、許してくれる?馬鹿な俺だけど。
でもタクトを想う気持ちに偽りはないから。

「俺も……す…好き」

全然変わってない恥ずかしがり屋のタクト。好きになった頃のままのタクトだ。

「ありがとう」

握った手を引き寄せて、抱き締めた。
久しぶりの感触、匂い、体温、かかる吐息まで、全部。
全部が愛しい。

「俺はタクトを泣かせてばっかりだね」

少しだけ体を離せば、ぽろぽろと涙を零す瞳が、俺を映す。

「ちゃんと、タクトが笑っていられるように頑張るから」

指で涙を掬うと、タクトは無理矢理に笑った。

「仁にも、笑っていて欲しい」

そう言うタクトの手のひらが、俺の頬を包む。その手に伝う雫は、涙。
なんだ、俺も泣いてるのか。

そのまま、どちらともなく唇を寄せ合った。

体温を移し合うだけのキス、そして、熱を奪い合うキスへ。
離れていた時間を埋めるように、ゆっくりと。
二度と離れないように、じっくりと。

足りなくなった酸素を求めて離れると、熱っぽい視線が絡み合う。
そのまま抱き合って、ソファに倒れ込んだ。


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