Chapter.15
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自室のベッドに身を投げた。沈み込む、重たく感じる体。頭がクラクラする。心臓がやたらとうるさく音をたてて、上手く息ができない。
好きだよ。
仁の言葉が、繰り返し再生される。何度も何度も。甘い声が耳の中で響く。
その顔は笑ってはいなかった。いつになく真剣な表情だった。真っ直ぐに自分を貫く、強い視線。
分からない。
それが、自分の正直な気持ちだった。
本気?それとも遊び?ただの気まぐれ?本命がいるって言ってたのに?それは俺なの?それともやっぱり暇潰し?
分からない。答えられない。仁のその言葉に応えられない。
嫌いじゃない。語尾が伸びる話し方も。明かりに透ける金髪も。器用そうな長い指も。少し筋肉質な腕も。笑うと細くなる目も。
でも、あまりにも自分から程遠い存在な気がして、現実味がない。
「寝よ……。」
布団に潜り込む。身を縮め、すっぽりと布団に覆われると、少し落ち着いた。
ぎゅっと目を瞑って、何も考えないように。どうか眠れますように。
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