Chapter.11
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ユウと仁は高校からの付き合いらしい。とは言うものの、クラスは別々で仲良くもなかったそうだ。
「アタシもタクトくんと同じ年の頃にここへ来たんだけど、その時仁と知り合ったの。」
意外なことに、声を掛けたのはユウからだったという。同じ位の年頃の仁を見つけて、一人で心許なかったこともあって話しかけたのだそうだ。二人はすぐに打ち解けた。
「そしたらなんと、次の日に学校でバッタリ会っちゃったのよ!もぉ二人ともビックリして固まっちゃって!」
ユウはケラケラと笑い声をあげる。
「それからは昼休み二人で屋上が日課ね。アタシはクラスに居場所なかったし。」
イジメって程でもなかったんだけどー、と酒をひと口。
「オカマがうつるから寄るなーとかね。ありがちでしょ?ふふふ。」
「分かります。俺もクラスで同じようなこと言われるから。」
今でこそ笑って話しているけれど、きっと辛かったに違いないと思う。
「そっかぁ。タクトくんも大変なのかぁ。」
そういって笑った顔は少し悲しそうでもあって。
「アタシも仁も卒業後は別々の専門学校に行ったんだけど、仁との付き合いは途切れず今に至る、ってカンジね。」
あれアタシの話になっちゃった?とユウは首を傾げた。
「仁はいまやすっかり遊び人ねぇ。見た目がイイから、すぐ相手見つけちゃって。取って喰って飽きたらポイよ」
「はぁ……。」
ならば自分もその一人か。やっぱりからかわれていただけなのだ。改めて自覚すると気分が沈んだ。
「あ、でもぉ……!ふふふっ。」
「どうかしました?」
「ううん、ただの思い出し笑い!こないだね、気に入った子に嫌われまいと一人でグルグルしてたのよねー。」
じゃあ自分は、何ていうか、暇潰しみたいなものか。
あの日のことは忘れよう。
そうだ。今ならキレイサッパリ断ち切れる。だってまだ好きかどうかも分からない。だったら簡単だ、結論は好きじゃなかった。これでお終い。
「その人と、うまくいくといいですね。」
何故か声がかすれて上手く喋れない。
「そうね。アタシもそう思う。だから、」
ユウの丸い瞳が、顔を覗き込んできて俺の目にしっかりと映り込んできた。
「タクトくんも頑張ってねっ!」
「?……ハイ。」
何を、とは聞かなかった。ユウはただにっこりと笑っていた。
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