16.思考と微睡
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わぁ、苑くんに仕事しろって言われちゃった。顔文字かわいいなぁ。
なんて画面を見つめていたら、今日のお客さんがもうすぐ来る時間だった。
予約じゃなくて、飛び入り。体が空いていれば即対応。
前も僕を指名した人だった。普通のセックスをする人だ。別に、そういうのは気にしない。買ってもらって、僕はお金をもらえればそれで良い。
誰かに抱かれている間は、苑くんのことを考えない。
06:45 ありき
オシゴトおしまい。これから寝ますー。
06:52 まる→ありき
おかえりー!そしておやすみー!お疲れ様。
苑くんはもう起きてる時間に帰宅して、すぐに部屋に籠る。つけっぱなしのパソコンから呟くと、苑くんがお返事をくれた。
もう朝ごはんは食べたかな。今日はテスト勉強はかどるといいね。
06:55 ありき→まる
えりあり、そしておやあり。まるは学校いってらっしゃいだね。気をつけてね。
本当は、登下校にだってついていきたい。だって苑くんは可愛いから、いつどこでどんな輩に襲われるか知れたもんじゃない。僕が助けられるかどうかは別として、少なくとも囮くらいにならなれるし……。
こんなふうに誰かを守りたいとか思ったのは初めてで、僕はどうしたらいいのか分からない。
とにかく、好きでたまりません。
こんな気持ちを何と呼ぶのでしょうか。
そんなことをつらつらと考えるうちに、僕の思考は睡魔に攫われていった。
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