12.痛烈な失敗
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あー痛いなぁ。
傷よりも、現実が。
知られちゃったなぁ。
見られちゃったなぁ。
嫌われちゃったなぁ。
ベッドに沈み込んだまま、たぶん僕は浮き上がれない。よりにもよって、あの状態を見られた。汚い体、見られた。
だってまさか、ついてくるなんて思わなかったんだ。慣れない尾行なんかしたりして。いつも尾ける側の僕には丸分かりだよ。
店のことも多分知られただろう。藤井さんも千ちゃんもいたから。
何か僕のことを話したんだろうか。僕が何をしてお金を貰っているのか、とか。僕がどんな性癖なのか、とか。
君は、僕を受け入れられない。きっと。
拒絶か、見て見ぬふりか、どっちにしたって心臓に包丁を突き立てられたような激痛が待っている。
床に置きっぱなしのパソコンは、電源も付けっぱなしだ。手を伸ばし、キーを押して、暗くなっていた画面を起こす。ツイッターの画面が映し出された。
ムシャクシャする!寝る!
そんな呟きが、投稿されていた。
おやすみ、苑くん。と、心の中で呟く。僕はたぶん眠れない。
ムシャクシャしてるんだ、この壁の向こう側で。僕のせいで。ごめんね。
もう合わせる顔がないなぁ……。またひっそりこっそり、近くて遠いところから、隠れて眺めていよう。所詮、僕はしがないストーカーですから。
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