【with 菅原孝支】
「なんでこいつらも一緒かなー…」
「まあまあ」
珍しく深夜営業中の坂ノ下、年越ソバ代わりのカップ麺のスープを飲み干しながら不満そうなスガに小さく苦笑。
彼の視線の先には、いつも以上に元気なバレー部の面々がテレビでどっかのアーティストの年越しライブを見ながら騒いでいる。
…東峰は眠そうだけど西谷に絡まれている…可哀想に。
「どうせ春高優勝と受験成功祈願しに初詣行くつもりだったんだしさ」
「そうだけどさ。考えることは皆一緒なんだろうけどさ。いつもあいつらも一緒だから初詣くらい二人で行きたかったじゃんか」
立てた膝に顎を乗せて頬を膨らますスガは、明らかに拗ねている。
こうなったスガはちょっとめんどくさい。
「30秒前ー!!」
田中と西谷、日向が一際大きく声を上げ、それに釣られてか部員に広まるカウントダウン。
このまま拗ねられてるわけにもいかないし、ここは強引にでも機嫌直してもらわないと。
「10秒前!5、4、」
「…スガ」
「なん…!」
カウントがゼロになったその瞬間、あたし達の距離もゼロになった。
重ねた温もり、室内の騒ぎが遠く聞こえる。
「…あけましておめでとう、今年もよろしくね」
「…おう」
「機嫌直った?」
「直った…」
「ならよし。ねー、年も明けたし、そろそろ初詣行こうよー!」
騒ぐ部員達に声をかける為立ち上がったあたしの背後、真っ赤な顔になっている彼氏様がこの後さんざんからかわれることになるのは、また別の話。
年越ソバ
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