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体育祭から数日後、空き教室に設置されたパネルに大量の写真が貼り出された。
新聞部による写真販売だ。
体育祭や文化祭等、大きなイベントの後はこうして販売をするのだと桜士郎先輩が教えてくれた。
「ちなみに今回の売れ筋はマドンナちゃん各種かな」
「やっぱり…さすが月子」
「幼馴染みクンとかと写ってるのがほとんどなんだけどね〜」
何故か桜士郎先輩に付きまとわれつつ、あたしは順番に写真を見ていく。
「あ、眠り姫ちゃんの一番人気はコレよ。俺の連写の賜物!」
「………」
桜士郎先輩が指差したのは、応援合戦で歌ったときの、ちょうど『キラッ☆』の瞬間。
なんていうか、とても…予想通り、です…。
「撮られるだろうなとは思ってましたけど…」
「凄いっしょー、このナイスなタイミング!」
自画自賛って、こういうことを言うんじゃないだろうか。
桜士郎先輩の話を右から左に流しつつ、次のパネルに目を向ける。
「あ…」
あたしの目に入った、一枚の写真。
それには、あたしと、一樹先輩。
昼休みに二人で話していた時のものだ。
「あ、ソレ見つけちゃった?二人共超いい笑顔だよね〜」
写真に目を奪われたまま、桜士郎先輩の言葉が耳をすり抜けていく。
先輩の言う通り、あたしも…一樹先輩も、とても楽しそうに笑っている。
「…その写真、プレゼントしよっか」
「え?」
「君の写真の売れ行きも、相当いいからね。利益還元ってとこかな」
つーわけで、ハイどーぞ。
既に用意してあったのか、手渡された封筒は写真1枚にしてはやけに分厚い。
疑問に思って中を覗いてみる。
「……!先輩、これ…っ!?」
「俺選抜、不知火一樹コレクションfor眠り姫ちゃん。お気に召したかな?」
封筒の中身は、桜士郎先輩の言う通り一樹先輩のオンパレード。
しかもこれ、体育祭以外の写真もあるんじゃ…?
「ていうかなんで一樹先輩、」
「だって眠り姫ちゃん、一樹のこと好きでしょ?」
………………。
「え、え、なんで知って、え?」
「見てればわかるよ〜。眠り姫ちゃん、一樹といる時は嬉しいオーラ出まくってるもん」
「まじですか……はっ、まさか…!?」
桜士郎先輩が気付いているということは、多分金久保先輩も気付いている。
一樹先輩も、もしかしたら。
あたしの不安を見透かしたように、桜士郎先輩は笑ってあたしの頭をポンと軽く撫でる。
「大丈夫だよ、多分。今の一樹、自分の気持ちで手一杯だから」
「一樹先輩の、気持ち?」
首を傾げても、桜士郎先輩はくひひ、と笑うだけだった。
(間違っても、一樹先輩にあたしの気持ち言ったりしないでくださいね!?)
(だいじょーぶよ、そんなことしたら面白くないじゃない?)
(………なんでこの人にバレちゃったんだろう)
(くひひひひひっ♪)
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