応援練習だリハーサルだなんだとバタバタしているうちに、あっという間に体育祭当日。

『午前中最後の種目は応援合戦です。応援団の生徒は、準備に入ってください』

「それじゃ、行ってきますかねー」

「頑張れよー小林!」

「バッチリ写真撮ってやるからな!」

「や、いらないから」

クラスメイトと軽口を交わして更衣室に向かい、チアガールの衣装に着替える。
練習の時に「他の科の奴らを驚かせてやろうぜ!」と先輩方に言われていたので、上にはジャージを羽織って集合場所へ。

「来たな、神話科の紅一点!」

「順番、決まりましたか?」

集合場所には応援団のメンバーが既に揃っていた。
団長に声をかけると、ニヤリと笑みを返される。

「喜べ、我等神話科は一番最後だ!」

応援団唯一の女子がそんな衣装で出てくるんだ、インパクトはバッチリだな!と一気に盛り上がる先輩達。
そんなインパクトはいらない、と思っていると、肩をポンと叩かれた。

「あ、桜士郎先輩」

「眠り姫ちゃん、応援団なんでしょ?写真は俺に任せてね!」

「いらないです。ていうか先輩西洋占星術科でしょう。神話科にいていいんですか?」

「俺は新聞部だからね、報道が俺の仕事よん」

くひひ、と怪しく笑う桜士郎先輩はもう放っておくことにする。
もう間もなくあたし達神話科の出番だ。

『それでは、最後は神話科応援団です』

「よし、行くぞ!」

団長の声を合図に、グラウンドに走り込む。
あたしは台に上がってマイクの前へ、他の応援団は団長を中心に一列に並ぶ。

他の科とはまったく違うやり方に、生徒達がざわめく。
マイクのスイッチを入れて、あたしは息を吸い込んだ。

『神話科応援団代表、一年小林優。…歌います!!』

ジャージを脱ぎ捨てると同時に音楽が流れ始める。
どんどん増していくざわめきにしてやったり顔の団長以下応援団メンバー、全員振り付けはバッチリだ。

「チアガールだと…!女子がいるからって有効活用してきやがったぜ神話科め!」

「そりゃチアガールに応援されたらテンション上がるしやる気も出るよな…」

「ていうかこの曲、もしかしなくても」


『みんな、抱き締めて!銀河の、果てまで!!』


「超時空シンデレラ、だと…!?」

「これは…予想外でしたね…」

運営本部テントから一樹先輩の驚いた声が聞こえてきて、あたしは笑みを浮かべた。





(おい颯斗、星間飛行歌うなんて聞いてないぞ!?)
(どうやら優さん本人が直前で曲の変更を申し出たみたいですね)
(あいつ…やりやがって…!)
(そう言う割には楽しそうな顔をしていますよ、会長?)





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