「なんで女子は学ランじゃないんですか!?あたし学ラン着たいんですけど!!男子ばっかズルい!!」

放課後、生徒会室に乗り込んだあたしはダン、と机に手を突いた。
正面には不敵に笑う一樹先輩。
背後にはオロオロする月子と、黙々と仕事を進める颯斗。

「落ち着け。お前が応援団をやることは、陽日先生にリストを貰う前からわかっていた」

「わかっていたって、どういう…」

言いかけて、はっとする。

「まさか、」

「そのまさか。星詠みだ」

笑みを崩さないまま一樹先輩は立ち上がり、机の脇に置いてあった紙袋を手に取った。

「俺には優が応援団になる未来が視えていた。だから、その時点で衣装の発注をしておいたんだ」

「なっ…!」

渡された紙袋の中身を覗けば、何やら衣装が入っている。

「だが、サイズまでは少々不安でな。今試着してみてくれ」

「今って…ここでですか?」

「安心しろ、俺と颯斗は外に出てるからな。着替え終わったら呼べよ!」

一樹先輩は半ば強引に颯斗を引っ張って生徒会室を出ていき、室内にはあたしと月子だけが残された。

「ちくしょう…確信犯め…!」

「…優ちゃん…?」

「あたしが一樹先輩に言われて断れるわけないじゃん…!」

これが所謂『惚れた弱み』ってやつなんだろうか。
仕方無く、あたしは渡された衣装に着替えることにした。



「会長、優ちゃんの着替え終わりました」

月子が廊下で待っている二人に声をかける。

「おう。どうだー、優。サイズ合ってるか?」

「サイズはぴったりです、けど」

「よくお似合いですよ、優さん」

一樹先輩と颯斗にまじまじと見られ、思わず月子の後ろに隠れた。

「?優ちゃん?」

「こんなにジロジロ見られるなんて聞いてない、恥ずかしい…!」

あたしが着替えた衣装は、一言で言えばチアガール。
胸にはご丁寧に『SEIGETSU』のロゴ入り。

「今恥ずかしがってどうする、体育祭当日は全校生徒に見られるんだぞ?」

「はっ、そういえば…!!」

「新聞部にも写真を撮られるでしょうね」

「優ちゃん可愛いもん!大丈夫だよ!」

「変なことするような奴がいたら生徒会長権限でとっちめてやるし、心配すんな!」

「そうですね、そこのところは万全の態勢で臨みましょう」

当事者抜きで盛り上がる生徒会の面々に、あたしは小さく溜め息を吐いたのだった。





(一樹先輩、応援団辞退って…)
(認めない)
(…ですよねー…)
(なんだ、俺が選んだ衣装が不満なのか?)
(べ、別にそういうわけじゃ…!)
(ならいいだろ。ちゃんと見ててやるから頑張れよ!)
(っ、はい!)

((我ながら、単純…))





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