「応援団?」

「はい、クラスの全員一致で。せっかく女子がいるんだから野郎よりも女子に応援してほしいって」

「なるほど、確かに一理あるな」

暇潰しに訪れた保健室で星月先生とのんびりお茶していると、廊下からバタバタと足音が聞こえてくる。
星月先生がやれやれと溜め息を吐く間にも足音はどんどん大きくなり、保健室の前まで来たかと思う間もなく扉が盛大に開け放たれた。

「こったろーセンセー!!」

「…直獅。教師が廊下を走ってどうする」

すまんすまん、とまったく反省していない様子で保健室に入ってきた直ちゃん先生は、すぐにあたしに気付いて近付いてくる。

「なんだ小林、お前も来てたのか」

「ヒマだったんで」

「おいお前ら、ここを休憩室か何かと勘違いしてないか」

「そんなことないですよー。ねー直ちゃんセンセー」

「そうだよなー小林ー」

「……好きにしろ」

完全に諦めた星月先生に気付いているのかいないのか。
直ちゃん先生はテンション高く話し続ける。

「そういえば小林、お前体育祭で応援団やるんだってな!さっき名簿見せたら不知火が張り切ってたぞ」

「一樹先輩が?一樹先輩も応援団なんですか?」

生徒会だって、運営とかあって大変だろうに。
あたしの言いたいことを汲んでくれた星月先生も話に加わった。

「応援団の衣装代も生徒会の予算から出るからな。今年は女子がいるから新しく発注するんだろう」

「え…あたし学ラン着る気満々だったんですけど」

「不知火が有言実行なのは知ってるだろ?今年は諦めとけ!」

「そんなー…」

ガックリと肩を落とすあたしを見てカラカラ笑う直ちゃん先生と、我関せずといった感じで湯飲みに口をつける星月先生。

一樹先輩、今だけはちょっと恨みます…。





(ところで星月先生って琥太郎って名前なんですね)
(ああ、それがどうかしたか?)
(あたしも琥太郎先生って呼んでいいですか?)
(…好きにしろ)
(やった!)





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