「こンの…バカエリアスうううううう!!!!」

ラボの扉が盛大に開け放たれ、そんな叫び声が聞こえたと同時に、俺の頭のすぐ脇のディスプレイが音を立てて砕け散る。
あと数センチ弾道が逸れていたら間違いなく頭蓋骨を貫いていたであろうそれに軽く戦慄しながら、俺は扉の方に向き直った。

「ぬーん、味方に銃向けたら駄目なんだぞ、Capella」

「Aquariusがちゃんとした発明してくれればこんなことしなくて済むんだけどね!」

振り向いた先、ラボの入口には何故か怒った様子で銃を構えたCapellaの姿。
…心なしか、目が赤い気がする、ような?

「Capella、目が赤いみたいだけど…泣いたのか?」

「あんたがこないだ作った催涙煙幕お涙頂戴モクモクさんのせいよ!」

ぱあん、Capellaが再度発砲して、またひとつディスプレイがご臨終。
このままじゃ部屋中のパソコンが全滅しかねない。

「モクモクさん、凄かっただろ?」

「凄かったなんてもんじゃないわよ…有効範囲が広すぎてこっちまでダメージ喰らったっつの」

少しは加減を考えなさいよ、そう言ってCapellaはまた銃を構える。
…やばい、完全に殺る気だ。
思わず顔を引きつらせると同時に、Capellaから銃を取り上げる人影。

「少し落ち着いてください、Capella」

「…Sagittarius」

やれやれと溜め息を吐いたSagittariusは、銃の代わりにCapellaに氷のうを手渡す。

「理由はどうあれ、泣いたなら腫れる前に目を冷やしてください」

「ありがと…準備いいわねあんた」

「Aquariusのことだから、爆発せずとも無事で済むとは思っていませんでしたから」

いくら従兄弟とはいえ、Sagittariusは失礼だと思う。
そう文句を言えば、お前が悪い!と降ってきたゲンコツ。
…Aries程じゃないけれど、地味に痛い、うぬぬ。

「それに…AriesとCancerがまた無駄に心配します。貴方に対しては特に過保護ですから、あの二人は」

Sagittariusの言葉に、乾いた笑いを零すCapella。
俺から見ても過保護すぎると思うくらい大切にされているCapellaは、驚く程ケガが多い。
小さな擦り傷や切り傷がほとんどだけれど、いつか命に関わるようなケガをするんじゃないか…と心配するAriesとCancerの気持ちは分からないでもない。

「…とりあえず、Aquariusは催涙煙幕の有効範囲をもう少し狭めて。味方にまでダメージ与えたら意味ないだろ」

「うぬ…」

「Capellaも、少しはケガを減らしてください。女性なんだから、体に傷が残ったらどうするんですか」

「…はぁい」

何故か二人してSagittariusに叱られている俺とCapellaは、こっそりと顔を見合わせて小さく溜め息を吐いた。

「ちゃんと聞いてるの、Aquarius!Capellaもですよ!」

「「聞いてまーす…」」





ちいさなちいさな、俺の宇宙
(それが、俺の世界のすべて)





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