「優ー、こないだの写真プリントしてきたぜー」

「ほんと?ありがとー!!」

先日の一件以来、哉太の中であたしの好感度が上がったらしい。
哉太と二人で話す時は、だいたいが会長についての話題になってきている。

「そうそう、これ!この表情超カッコイイよね哉太まじグッジョブ」

「だろ?」

…まぁ、元々イケメンは好きなので、楽しいと言えば楽しいです。

「なになに〜、一樹の写真?」

「あ、白銀先輩ちわっす」

そこに突如現れた変態…もとい桜士郎先輩。
いつからそこにいた。

「会長だけじゃないですよ、他にも色々と」

机に広げた写真を示すと、怪しく笑った先輩は一冊のアルバムを取り出した。

「くひひひっ、コレ、なーんだ?」

「何って…アルバムじゃないんすか」

「アルバム以外の何物でもないですよね」

二人してそう言うと、桜士郎先輩は笑みを深める。
正直、とても胡散臭い。

「ただのアルバムじゃないんだな〜、これが」

「…どういうことっすか」

「白銀桜士郎様特別編集、星月学園生徒マル秘写真コレクションなんだな〜!見たい?見たい?」

マル秘、の言葉にあたしと哉太の肩がピクリと揺れる。
もったいぶられると見たくなるのは、人間の本能なのだろうか。

「見せてくれるんですか?」

「タダじゃ見せてあげらんないな〜。何か俺が満足出来るもの、くれたらいいよ」

「俺が撮った写真…」

「却下」

スッパリ切り捨てられた哉太が、あたしに何か持って無いのかと目で訴える。
何かって言われても、今は何も………あ、そうだ。

「ペットボトルのオマケについてきたよくわかんないストラップならありますけど」

ポケットから取り出すと、哉太が明らかにガッカリした声を出す。

「いや、それはさすがにねーだろ」

「あ、やっぱ?」

苦笑したところで、頭上から響く声。

「いいよ、それで」

「え?」

「俺、そーゆーの大好きなんだよねぇ。て、わけではいドーゾ」

呆気なくアルバム入手。
哉太と一緒に開くと、そこに写っていたのは2年の先輩達をメインとした生徒達。

「あ、あたしだ」

「俺もいるぞ。いつ撮ったんすか」

「それは企業秘密!俺はスクープを激写するために存在してるんだよ?」

「変態じみてますけどね」

「小林ちゃん、変態じみてるんじゃないよ。俺はれっきとした変態なの!」

「…余計悪くなってないっすか、それ」

…あたしもそう思う。





(あ、会長。これ、体育の時ですか?)
(そだよん。バスケでダンク決めた直後だったかな〜。見てよこのドヤ顔!)
(え、カッコイイじゃないですか。ねぇ哉太?)
(そーっすよ!白銀先輩、この写真焼き増ししてもらえないっすか?)
(あ、あたしも!)
(ええええ…君達の趣味、俺にはよくわかんないよ…)




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