課題は終わったし、街に出る用事も無いし。
簡単に言ってしまえば、あたしは暇な週末を過ごしていた。

特に目的も無くフラフラと散歩していると、中庭で何やらしゃがみ込んでいる哉太を発見。
手に持ってるのは…デジカメ?

「これはこれは七海哉太くんじゃないですか。ご機嫌いかがかな?」

「あ?…なんだ、優か」

「なんだとはなんだ失礼な」

軽口を叩きつつ、あたしも隣にしゃがみ込む。

「何やってんの、こんなとこで」

「いい天気だったからよ、写真撮ろうかと思ってな」

「ふーん」

見てもいい?と聞けば、数秒迷った後、笑うなよ、と言ってカメラを渡された。

「操作わかるか?」

「大丈夫〜」

データを呼び出して、次々に再生していく。
さっき撮ってた花、景色、天体写真、月子と錫也を始めとする天文科の面々などなどなど。

「あ、あたしもいるじゃん。いつの間に撮ったのよあんた」

「それは…移動教室のときか。神話科3人で楽しそうだったから、ついな」

プリントするか?との申し出に、他の天体写真も何枚かリクエストして。
そろそろ全部見終わる、という時にあたしの目に飛び込んできたのは。

「……会長?」

「!!」

あたしの呟きに、慌ててカメラを奪い返そうとする哉太。
もちろんそんなにあっさり返す訳もなく、哉太の手は虚しく宙を切った。

「そっかー…哉太にそんな趣味があったとはねぇ」

「なっ!?」

ニヤリと口角を上げたあたしに、哉太は目に見えて狼狽える。

「あ、大丈夫大丈夫!誰にも言わないし、あたしそういうのに偏見無いから」

「だーっ、ちげーよ!変な誤解すんな!!」

焦る哉太の反応は楽しいけれど、あんまりからかうと本気で怒りそうだ。

「はいはい、冗談だって。それにしても、なんで会長の写真?」

「不知火先輩は、俺の憧れなんだよ」

「憧れ?」

「あぁ、尊敬してるっていうかさ」

そこから始まる哉太の熱弁は正直あまり覚えていない(だって軽く1時間は語ってた)けれど、とにかく彼は会長をリスペクトしてるらしい。

「まぁ、確かにカッコイイし、カリスマ性も行動力もあるしね」

「だろ!?」

「俺様に見えてちゃんと学園のこと考えてるし、あたし達女子のこと気にかけてくれてるし」

挙げていけば、良いところしか思い浮かばなくて。
……あれ?これは、もしかして。





(………哉太)
(んだよ)
(あたし、会長のこと好きになりかけてるのかも)
(へー…って、はぁ!?)
(かも、だよ!でもとりあえずさっきの写真もプリントして)
(あ、あぁ、)




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