![](//img.mobilerz.net/sozai/1299_w.gif)
課題は終わったし、街に出る用事も無いし。
簡単に言ってしまえば、あたしは暇な週末を過ごしていた。
特に目的も無くフラフラと散歩していると、中庭で何やらしゃがみ込んでいる哉太を発見。
手に持ってるのは…デジカメ?
「これはこれは七海哉太くんじゃないですか。ご機嫌いかがかな?」
「あ?…なんだ、優か」
「なんだとはなんだ失礼な」
軽口を叩きつつ、あたしも隣にしゃがみ込む。
「何やってんの、こんなとこで」
「いい天気だったからよ、写真撮ろうかと思ってな」
「ふーん」
見てもいい?と聞けば、数秒迷った後、笑うなよ、と言ってカメラを渡された。
「操作わかるか?」
「大丈夫〜」
データを呼び出して、次々に再生していく。
さっき撮ってた花、景色、天体写真、月子と錫也を始めとする天文科の面々などなどなど。
「あ、あたしもいるじゃん。いつの間に撮ったのよあんた」
「それは…移動教室のときか。神話科3人で楽しそうだったから、ついな」
プリントするか?との申し出に、他の天体写真も何枚かリクエストして。
そろそろ全部見終わる、という時にあたしの目に飛び込んできたのは。
「……会長?」
「!!」
あたしの呟きに、慌ててカメラを奪い返そうとする哉太。
もちろんそんなにあっさり返す訳もなく、哉太の手は虚しく宙を切った。
「そっかー…哉太にそんな趣味があったとはねぇ」
「なっ!?」
ニヤリと口角を上げたあたしに、哉太は目に見えて狼狽える。
「あ、大丈夫大丈夫!誰にも言わないし、あたしそういうのに偏見無いから」
「だーっ、ちげーよ!変な誤解すんな!!」
焦る哉太の反応は楽しいけれど、あんまりからかうと本気で怒りそうだ。
「はいはい、冗談だって。それにしても、なんで会長の写真?」
「不知火先輩は、俺の憧れなんだよ」
「憧れ?」
「あぁ、尊敬してるっていうかさ」
そこから始まる哉太の熱弁は正直あまり覚えていない(だって軽く1時間は語ってた)けれど、とにかく彼は会長をリスペクトしてるらしい。
「まぁ、確かにカッコイイし、カリスマ性も行動力もあるしね」
「だろ!?」
「俺様に見えてちゃんと学園のこと考えてるし、あたし達女子のこと気にかけてくれてるし」
挙げていけば、良いところしか思い浮かばなくて。
……あれ?これは、もしかして。
(………哉太)
(んだよ)
(あたし、会長のこと好きになりかけてるのかも)
(へー…って、はぁ!?)
(かも、だよ!でもとりあえずさっきの写真もプリントして)
(あ、あぁ、)
→back