突然ですが、生クリームは正義だと思うわけであって。

「と、いうわけで、食堂行こう犬飼」

「簡潔な説明を求めてもいいか」

…至極冷静なツッコミを喰らった。
犬飼はたまにノリが悪いと思うの…。

「いやね、今朝会った時に会長が教えてくれたんだけどさ。食堂に春限定の桜パフェなるものがあるらしいんだ!」

「…で?」

「颯斗と月子は生徒会だし、天文科は課題あるからって錫也と哉太には断られまして。だから仕方無く君を誘ったわけだよ、犬飼クン」

「俺は妥協案かよ…」

「いいじゃんどーせヒマでしょ?ほら行くよ!」

めんどくさがる犬飼を連れて、向かうは食堂。
食券を買って、カウンターの向こうにいるおばちゃんに声をかける。

「おばちゃん、桜パフェお願いしまーす!」

「…桜パフェ、お願いします」

…隣から、あたしと同じく桜パフェを注文する声。
声が聞こえた方を向けば、ムスッとしたような表情の男子生徒。
赤いネクタイということは、同学年らしい。

「なんだ、宮地じゃねぇか」

「む…犬飼か」

「え、なに?知り合いなの?」

犬飼に問いかけると、ニヤリと笑って紹介してくれた。

「同じ弓道部の、宮地龍之介。宮地、こいつだようちのクラスの女子」

「あぁ…。星座科の宮地龍之介だ」

「神話科の小林優です、よろしく。宮地くん、でいいかな?」

握手を求めたら、フイと目を逸らされた(でも握手はしてくれた)
犬飼が言うには、どうやら彼は照れ屋?らしい。

「…呼び捨てで構わない。ところで、桜パフェを注文していたということは、お前も甘いものが好きなのか?」

「まーね!生クリームは正義だと思う」

ドヤ顔で言ったところで、カウンターに乗せられた2つのパフェ。
とりあえず食べながら話そうということになり、近くのテーブルに移動する。

「『お前も』ってことは、宮地も甘いもの好きなんだ?」

早速パフェに手を付けていた(早いよ)宮地に話しかければ、眉間のシワが深くなった。

「…悪いか?」

「まさか。むしろいいぞもっとやれ。犬飼とかさー、理解が無くて参るよね」

「それは同感だな。犬飼、お前は生クリームの素晴らしさを分かっていない」

「わかりたくもねェよ…」

思わぬところで意気投合したあたし達は、桜パフェを存分に味わいながら、犬飼に呆れられつつも甘いもの談義に花を咲かせたのでした。




(いっそあれだ、スイーツ同盟組まないか宮地くんや)
(む、それはいいな)
(なんだそれ…)




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