入学式はまだ続く。

来賓の言葉とかいいから、さっさと終わらせてほしい…眠い。

「早く終わんないかな…」

「次の生徒会長挨拶で最後みたいですよ」

「まじ?よし、がんばろ」

目に見えてシャキッとしたあたしを見て、颯斗が苦笑した。

「生徒会長かー…どんな人なんだろ」


『続きまして、生徒会長挨拶』


司会の先生の言葉を受けて、一人の先輩が壇上に立つ。
あの人が生徒会長…かっこいいじゃないですか!

「優さん、頬が弛んでますよ」

「いや、イケメンだなって思ってさ…」

颯斗とヒソヒソ会話していると、会長の口調が丁寧なものから崩れる。
何か言ったみたいだけど、場内がざわついていてよく聞き取れなかった。

…直後。

『俺が白と言えばカラスも白!この学園では俺がルールだ!!』

「!?」

ちょっと待って…カラスって黒だよね?
どんだけ俺様なのこの人…!

「挨拶というか、恐怖政治宣言ですね…」
その後の会長の言葉は耳を素通りしていき、颯斗の呟きにハッとした時には既に会長は壇上にはいなかった。

「んー…恐い先輩、って感じでは無かったよね…」

入学式が終わって教室に向かう途中、颯斗に話しかけた。

「1年の頃から生徒会長を務めているらしいので、人望はあるんでしょう」

「1年から!?凄いなー…」

しかもネクタイの色を見るに、会長は2年生。
どんだけ支持率高いのっていう。
しかも颯斗はその凄い会長さんから副会長に指名されたそうで。
…こいつも十分すごいんじゃないか?

そんな話をしていたら、いつの間にか教室に着いていた。
今日のところはHRで軽く自己紹介をして解散。
…クラスに女子がいる、というだけでテンションが上がっていたクラスメイト達にはちょっと引いたけど、まあ悪い人達では無さそうだし、3年間楽しくやれそうだ。

「なー青空、お前会長に呼び出し食らってんだろ?」

先生が出ていった後、そう颯斗に話しかけたのは犬飼隆文。
あたしの斜め前の席で、ノリがいい彼ともすぐに仲良くなった。

「人聞きの悪い言い方は止めてください」

「でも呼ばれてるのは本当でしょ?」

「はい、きっと副会長どうこうの話でしょう。先輩を待たせてしまうといけないので、僕はお先に失礼しますね」

「おー、いってらー」

「また明日ねー!」

颯斗を見送ってふと振り向くと、チラチラとこちらを気にするクラスメイト達。
思わず犬飼と顔を見合わせて苦笑したのはまた別の話。




(いくら女子が少ないからって、変に気ぃ使われてもねー…)
(そーだぞーお前等。小林ごときを女扱いする必要ねーぞ)
(おいこら犬飼あんたあたしに対して超失礼)
(へーへー)




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