だらだらくっちゃべるナットさんとアキちゃん(人質)
「ナットさんナットさん」
「おう、どうした」
「お腹減ったです」
「冷蔵庫になんか入ってるだろ」
「見に行こうにもワタクシ手足が不自由なのですが」
「まてまて、ほどいてやっから」
「いいの?ほどいて」
「逃げようが襲われようが、まぁ負ける気がしねぇな」
「ですよね!」
「ナットさんナットさん」
「おう、なんだ」
「冷蔵庫を覗いたらパンとジャムを発見したんだけど」
「大収穫じゃねえか」
「一応聞くけど、あの瓶詰めに浮かんでるモツっぽいものは何?」
「見ての通りモツだ」
「うわぁ…」
「ホルマリンで漬けてあるからな、食うなよ」
「食べないよ!」
「ナットさんナットさん」
「おう」
「ナット・ノームって偽名?」
「どうした?急に」
「“Not name”」
「ははあなるほど。暇なんだな?お前」
「大当たり!」
「仕方ねぇな〜確かこの辺に…おっ、あった」
「何これ」
「俺が作ったクロスワード」
「暇だったんだね」
「当たり」
「ナットさんナットさん」
「なんだ」
「このクロスワード全っ然わかんないんだけど!」
「だろうな!」
「分かってて渡したなこのやろう」
「どうせなら難しい方が楽しいだろ?」
「ギリギリ解けるから楽しいんだよ。絶対クリア出来ない無理ゲーなんてクソゲーの極み」
「ふむ、真理だな」
「詫びに俺が遊んでやろう」
「結構です!!!」
「なんで?」
「激しい死亡フラグを感じました!!!」
「ははは、奴らが来るまで殺さねぇよ。でなきゃ生かして浚った意味がない。そう言ってさっきまで好き勝手してたのはお前自身じゃねぇか」
「…参考までに聞くけど、ちなみに何して遊ぶの?」
「ババ抜きとか」
「お泊まり会かよ…」
「似たようなもんじゃねぇか?」
「こんなデッド・オア・アライブなお泊まり会、アキはじめて!…ところでこのアジト、トランプなんてあるの?」
「ない」
「…………………………」
「ナットさんナットさん」
「なんだ」
「ひーまーーー」
「だからさっき遊ぶか?って聞いたろ」
「ないトランプで?」
「頭の中で補えばいいだろ」
「むちゃくちゃだ!」
「口頭でチェスするみたいに」
「無理じゃない?成立しなくない?」
「カオスで楽しいだろ」
「上級者かよ……………」
「ナットさんナットさん」
「はいはい」
「なんで私を浚ったの?」
「奴らの弱点だから」
「お荷物の間違いでは」
「言い換えればそうなるかもな。だが戦闘力はなくとも隙あらば味方に加勢しようとか考える強かな女はお荷物とは云わねぇ」
「私そんな事考えてないよぅ」
「まじか」
「私は探偵だもん。悪巧みが仕事じゃない」
「成程。悪事を暴く事がお前の使命という訳か」
「という訳でもっかい聞くけど、なんで私を浚ったの?」
「…それはつまり、何故こんな犯罪行為を繰り返すのか、って質問か?」
「あー、うん、そうそれ」
「探偵なんだろ、当ててみろ」
「いやぁわたくし生憎ただの探偵ですんで。“名”探偵じゃないんで証拠不十分でちょっと難しいかな!」
「分からないから犯人に解答を求める探偵ってのは初めて聞いたなぁ」
「まぁまぁそう仰有らず」
「そうだな…俺は人の感情の極地が見たい」
「感情の極地…?」
「そうだ」
「なんそれ」
「言葉通りだ」
「つまり今までやってきたゲスいあんな事こんな事は」
「そう、剥き出しの人間の本性を見る為だ」
「見てどうするの?」
「見て、観察して、統計をとり、研究する」
「…ナットさん、淋しいの?」
「ん?」
「疎外感みたいな…あ、いやなんでもないっす」
「お前の答えは飛躍してるなぁ」
「私も今のは無かったなって思ってる」
「そうか?」
「おっ。当たり?」
「どうかな」
「えー」
「俺は淋しいのか?」
「私はそうなのかもって思ったけど」
「だとしたらどうする」
「…お友達くらいになら、なれますよ?」
「考えておこう」
「おおー」
口頭でババ抜きしてる太宰さんとナットさんって高等なんだかシュールなんだか分からなくてめっちゃ面白いなwww間でそれ本当に出来るんだ!ってぎょっとしてるアキちゃん。うわー何が何だかわかんねーやって顔してるな
あんまりうっかりするとナットさんが勝ったら殺すとか殺さないとか変な薬注射するとか言われてそうだけど太宰さんが負ける訳ないと思ってるからうわーうわー(゚∀゚)って暢気なツラしてそう
「何が何だかわかんねーや(゚∀゚)すげーや」
「死ぬかもしれないってのに暢気だな〜」
「太宰さんがこういうので負ける訳ないもーん」
「ほう?」
「うふふ。期待に応えなくっちゃね」
「太宰さんがんばれ〜」
「よ〜し俺も負けねぇぞ〜〜〜」
余りの弛さに他のメンバーが脱力する()
藍エルで一緒に住んでるエルちゃんは朝っぱらからご飯を藍葉くんの好物で固めてるんだと思う
お味噌汁の具も主菜も付け合わせも全部好物だから、「何かいい事あったんですか?」とか聞かれてそう()
(やりそうだとは思ってたけどやっぱり誕生日忘れてるのね)って思いながら、ええそうよ、今日はとびきりいい日なのって皮肉の様な茶目っけ出してる様な微妙な感じで返してたらいい
昼ご飯も好物で固められててやたらめったら甘やかして、なんだろうと思ってる内に着替えさせられて連れ出されたらいいお店の個室貸し切りのディナーでケーキとプレゼントが出てきてやっと今日が誕生日だって思い出して、「とびきりいい日」の意味を理解してくれたらいい
もう終わりか……って聞いたら、あら残念、来年までいい子に待つ事ねってお茶目に言ってたらいいし、でも朝までこうしててあげるわってドヤってたらいい。眠って目覚めるまでが誕生日よって。
誕生日って凄いのよ、何を願っても何を望んでも許されるの。一年の中で一番特別な魔法がかかる日なの。だからどうせなら思いっきり我儘言いなさい、今日だけは全てが許されるわ、とかってウィンクするエルとか可愛いな
多分翌年の話。でも藍葉くんはきっと何でもない事をお願いするんだろうから、馬鹿ねぇ、それくらいいつだって叶えてあげるのにって言う。そんなエルに、誕生日に叶えてもらうから特別なんじゃないですか?って言って、あら、わかってきたじゃない、とかやってたらいい……………………