うつくしきひと/芥アキ 「芥川さんの言葉は綺麗だねぇ」 「……なんの話だ」 「えっ言葉通りだけど」 「……」 「以外と情緒的っていうか」 「……」 「なんかそういうのに興味なさそうなのに」 「……興味がない────などと言った覚えはないが」 「それはそうなんだけど。もっと粗野な人かと」 「(粗野……)」 「粗野っていうか現実主義者?或いはスタイリッシュ脳筋」 「(スタイリッシュ脳……なんだと?)……否定はせぬ。理想 を語る暇があるなら、僕は為すべき事を為すのみ」 「(国木田さんを真っ向から否定しつつやってる事同じだ)」 「それで、何が言いたい」 「いや特に意味はないんですけど」 「……下らぬ事に時を使わせるな」 「はぁい。……でも芥川さん、知ってる?」 「なんだ」 「言葉が綺麗なひとは内側も綺麗なんだよ」 「……戯れ言を。僕が美しいだと?」 「うん」 「下らぬ事に時を使わせるなと云った筈」 「下らなくないよぉ」 「下らぬ。貴様のそれはただの妄言に過ぎぬ」 「そうかなぁ」 「そうだ」 「……でも私は好きよ、芥川さんの事」 「……」 「だいすき」 「……」 「だーーーいすき!!!」 「喧しい!」 2016/10/11 22:38 |