その辺で探していたもののなかなか吸えそうな場所がなく、仕方ないのでそこらへんの店にはいることにした。 煙草にライターの火をつけて、口に運ぶ。 暫くして口を離せばふわっと白い煙が宙を舞った。 小さなため息をはき、店内の鏡張りになってる窓から外を眺める。 あー、外はこんなにいい天気なのに私の心は超ブルー。 てか、なんで私が怪盗なんかの捜査に加わらなきゃならないんだ。 確か前も万全な状態の警備で臨んで逃がした、と聞いている。 数が多けりゃいいって問題じゃないんだろうに。 しかもキッドは変装するからいろんな意味で無駄だと思う。 注文したコーヒーにミルクなしで角砂糖を6つ放り込み、スプーンで掻き混ぜる 私は必ずコーヒーはこうしないと飲めないのだ。 いつも他のみんなから驚いた顔をされるが気にしないことにしている。 コーヒーと煙草を満喫すればレシートを片手に会計を済ませ、店をでた。 腕時計を見れば、丁度いいことに集合時間30分前。 このまま行くか、なんて考えて歩きだせば目の前から"泥棒ー"なんて声と走り迫ってくるサングラスをかけたお兄さんが私の方に向かってくる。 『・・・しょうがないなー』 ほんと、ついてないと思いながら身構える。 男の腕を掴み、一気に投げ飛ばす。 すぐさま、男の両手を後ろに捻り抑えつけた。 少ししてからやってきた警察に男を引き渡し、男を投げたときに飛んでいった鞄を拾い、女の子へと手渡す。 「あ、ありがとうございます!」 元気な女の子だな。 そして可愛い。 若いっていいなぁ。 『これからは気をつけてね』 お互い笑顔で別れて女の子は連れの男の子の方に小走りで走っていく。 おー、高校生カップルか。いいねぇ初々しい。 1人でうんうん頷いて勝手に納得している私。 言い争ってるのはきっと仲良しなんだな。(なぜそうなる) 私はまた勝手にそう納得し、満足気に目的地へと足を運ぶ。 ・・・だが、 『げっ!』 約束時間を過ぎているではないか。 先程のどたばたのせいだ。 私は顔を青ざめて、世界記録がだせそうなスピードで駆けていった。 「あいつか?」 「うん!そうよ! 軽く投げ飛ばしてカッコよかったんだからー!!」 先程華に助けてもらった女の子、中森青子が両手を組みうっとりしながら言う。 隣にいた少年、黒羽快斗は真剣な眼差しを向けて走り去っていく華を眺めていた。 途中でコケそうになる場面を目撃。 (おいおい、刑事がなにもない所でコケんなよな。) 「快斗どうしたの? あ―――!快斗もしかしてあの刑事さんのことが好きになっちゃったとか!?」 「バーロォ、そんなんじゃねーよ!」 顔を赤くしてぶっきらぼうにそう言えばからかうように青子は笑っている。 「なに笑ってんだよ」 「だって快斗ってばかわいー!」 「てめ・・!」 からかう青子に怒りを見せながらも快斗は横目で華が去っていった道を眺めるのだった |