「へたくそ!」
「げほっ」
あまりの痛みに目尻に涙をためてエレンのお腹に蹴りをいれた。苦しそうに眉を寄せ、咳き込むエレン。
「お、おまっ・・おまえなあ」
「さっきから痛いって言ってるじゃない!」
放たれた蹴りの方が痛かった、とエレンが言えば睨まれまた同じ箇所に攻撃をくらう。
「俺に任せろ、って言ったくせに」
「はじめてなんだから仕方ないだろ!」
「理由になってない。もうしたくない。」
「は!?ここでやめんの?」
反対側を向いてしまった。
エレンは結菜を見ながらため息を零す。
「じゃあ、俺にしがみついてていいから」
この言葉に結菜は振り向いた。
「また爪たてちゃうよ?」
エレンの背中には痛々しい爪痕がしっかりと残っている。
「俺が結菜の痛み全部受け止めるから」
「・・どうなってもしらないからね」
きゅう、とエレンの首に腕をまわしてしがみつく。瞬間、痛みに耐えるように、結菜の手と足が強張ったのを感じた。