みじかいの | ナノ

今日は新入部員の歓迎会でカラオケに来ている。
新入部員、って言っても少人数なだけだからなんとも言い難い。
まだ少女のようなあどけなさが残る彼女は部長が言うにはとんでもない力を秘めてるらしい。
カラオケの後、鍛えあげるって張り切っていたっけ。僕、高柳雅孝も付き合わされる予定、らしい。
正直、僕は彼女といるとどきどきして特訓どころじゃない。
可愛いから、というのもあるけれど彼女は僕の好きなコの棗亜夜ちゃんにそっくりなんだ。
凛とした瞳も、顔つきも、しぐさも、髪の長さ、色だって。
唯一、胸は亜夜ちゃんのが勝ってるかな?というのがある。


(って、僕はどこを見てるんだ!)


ぶんぶん!と頭を横に降る僕の近くに見慣れた色の長い髪の毛。



「はい、ちゃんと飲んでる?」



「あっ、亜夜ちゃん!?」



僕はとっさにそう叫んでしまった。
でもそこにいたのは亜夜ちゃんじゃなくてなまえちゃんだった。



「も―、また間違える。」



「ご、ごめん!
なまえちゃん。」



ふんわり笑う彼女はなんとも似ていて。
声なんか透き通っていて、よく聞けば違うのに。
髪の毛だけで判断してしまった自分を恨んだ。



「高柳先輩は歌わないんですか?」



にっこりと首を傾げて聞いてくる彼女に苦笑いする。


「僕、そんなに得意じゃないから。」



なんだか彼女といるときは動機が早くなって顔が熱くなり、どうも落ちつかない亜夜ちゃんじゃないと、頭では分かっているのに。
彼女は僕にとっては凶器だきっと赤い顔をしている。そう思い雅孝は彼女、なまえが持ってきてくれた飲み物を勢い良く口にいれた。