みじかいの | ナノ

ぱくん

賑やかな教室の隅っこでそんな軽やかな効果音。


「い、いのり・・?」
「美味しそうだったから」

子首を傾げてしおらしく言ういのり。
だけど彼女が食べたのは間違いなく私の唇。
カーテンをはさんでのことだった。


「直接触れてないよ・・?」
「いやいや!
それでもダメだから!」

「好きなら食らい付けってガイが」


あの野郎!
いのりの言葉を聞いた瞬間持っていたシャープペンシルが半分に割れた。
正しくは"折った"のだが


「あのね、いのり
こーゆーことは好きなひと以外としたらダメなの
ましてや女同士なんて論外
分かった?」

「・・・?
分かんない」

「なんで!?」


なんで分かんないかなあ!
ガイも教えるならもっとまともなこと教えろよな!


「なまえはいのりが迷惑?」
「へっ!?
いやいや、そんなことは、」

しゅん、と顔を俯かせて落ち込むいのり。

なんだかなあ。
調子狂っちゃう。


「いのりはなまえがすき
だから問題ない」
「いのり」
「あとシュウもすき」






「・・・・・そう」