みじかいの | ナノ

なまえが日本っちゅー自分の国に帰ってから俺はおかしくなったのかもしれへん。

「・・翼宿さんどうしたんですか」

あまりにもぼけーっとした表情で外を眺める翼宿に張宿は他の七星に問いかける。

「なまえが帰ってからずっとあーんな調子なのよ」

「恋煩いでしょうか」

「そうかもしれないわよ」

「ちげえって柳宿!なまえにフラれたらしいぜ」

「あら。ついに?」

「なるほど それは辛いですね。
可哀想に」

「うっさいわ!ボケエ!
おんどれ、鬼宿!勝手なことごちゃごちゃぬかしよって!
おまえこそ美朱に振られたんとちゃうんか!」

「ばーか!おまえと違って俺らはラブラブだっての!」

「せやったら振られる手前やな!」

ばちばちと火花が飛び散ってるように見える。

「・・なにこの子供(ガキ)等。付き合ってられないわ」

柳宿だけではなく、この場にいた誰もが思ったことだったのだとか。


「あ、柳宿!おーい!」

目の前にはひらひらと手を振ってこちらに向かってくる懐かしい顔。

「なまえじゃない。あんたいつこっちに戻ってきたのよ」

「ついさっきだよ。星宿に挨拶してきたとこ。」

にやり。柳宿の表情が悪戯に変わる。

「ねえ、なまえ
こんな話を聞いたんだけど知ってる?」

「え?」


先程とは違い、静かになった部屋。翼宿は頭を抱え込ませていた。

(あーなんや、このもやもやは!)

浮かぶのはなまえのことばっかり。

「自殺はダメえー!!」

「ぐふ!?」

首にエルボーがくらわされる。ふいうちだったためかなり痛かった。

「なまえ!?おま・・っ
なにすんねん!」

「自殺なんてダメ!思いとどまって!
今は辛くても明日にはきっといいことが・・」

「ちょお待ち!おまえさっきから一体なんの話をしてんねん!」

「え?違う・・の?」

「ちゃうわ!アホー!」

「なんだ・・」

「い!?」

なまえから涙がぼろぼろと零れおちた。

「なにも泣くことあらへんやろ!?」

「だって翼宿が男の人を好きになっちゃったから悩みに悩んで考えた末に自殺を図ろうとしてるって・・柳宿が・・」

「あんのオカマ・・!」

「・・怖かった・・私がいなくなってた間に翼宿がこの世からいなくなっちゃったなんてことになったら・・!」

「バカやな。俺がなまえを残して死ぬわけないやろ」

「・・うん・・」

くしゃくしゃと頭を撫でてやる。そうすればこいつはいつもの笑顔で笑った。

「ただいま。翼宿!」

「・・おう。」

ほら。俺はきっとこの笑顔に弱いねん。
ほんのりと頬を赤く染めるなまえの唇に優しく口付けた。




おかえりなさいのそのあとに


(12/03/16)