みじかいの | ナノ

あの人は誰にでも無防備だ。
俺の気持ちもしらないで。

「みなさんお疲れ様でしたー!」


「ありがと。なまえちゃん。」


それぞれにスポーツドリンクを手渡していく。
もちろんなまえの手作りだ。
このなまえ特製スポーツドリンクと天使のようなような笑顔で頑張ってくださいね。と言われればどんなに疲れがたまっても回復できる。


「やっぱなまえちゃんのスポーツドリンクは効くなあ。」


みんなうんうん、頷く中、大河は1人おもしろくない顔をしている。
そんなこともなまえは気づかないでにっこり微笑む。


「ほんとですか!?ありがとうございます!!
そう言われるとこちらとしても作りがいがありますよ。」


あのふんわりと笑う笑顔が可愛いのに許せない。
俺だけに見せて欲しいのに。


「大河!!」


なまえは小走りで隅に座っていた大河にスポーツドリンクとタオルを差し出した。
もちろんご自慢の癒しの笑顔とともに。


「はい。大河の分だよ。
お疲れ様!もう少しだから頑張ってね!!」


今の大河にはこの笑顔は逆効果だった。


「俺は最後か・・。」


「え?」


「そうだよな!俺なんかどうでもいいんだよな!!
練習でも他の部員ばっかり話しかけやがって・・!」

「大河・・・!?」


俺の言葉は止まらないどころかどんどんエスカレートしていった。


「お前むかつくんだよ!
そんなに他の部員がよければ俺なんかにかまうんじゃねぇ!!!」


こう言ったらなまえが傷つくことくらい分かっていたことなのに。
俺のなかでたまってたなにかがぷつりと切れた音がした。