一気に走り、喉が渇く。
水道の蛇口をひねり、水をだして口に運ぶ。
"今のお主では"
ぐるぐると真夜の言葉が頭を支配する。
武道は型にでてしまうから隠しようがない。
どんだけ集中してもあの事が頭から離れない。
自分はこんなにも雅孝のことを―・・・。
涙がどんどん溢れてくる。
「ふ・・っ、先輩・・
好き・・・!」
気持ちが押さえきれず口から零れる。
「なまえちゃん」
後ろを振り向けば雅孝がいた。
「・・・!」
急いで溢れでた涙を手で拭う。
歩く足音が近づいてくる。後ろから優しく抱きしめられた。
きっと、朝の返事だ。
全て話して、伝えた私の気持ちの。
「・・・昨夜はごめん。
亜夜ちゃんと間違えて抱いて・・
でも僕、やっぱり亜夜ちゃんが好きなんだ」
・・・・・そんなの、
ぎゅ、と唇と拳を握りしめた。
そのまま雅孝の腹へと狙い打ち込む。
「・・・!?」
「うん!スッキリした!!」
打たれたお腹を抱えながらなまえを驚いた目で見つめる。
「・・・私!
諦めたわけじゃないですから!!
亜夜ちゃんよりもいい女になってみせます!!」
そう言ってみせる彼女はいつもの彼女だった。
「組み手の相手、お願いしますね!
高柳先輩!!」
「望むトコだ!!」
そんな笑った彼女の笑顔は亜夜ちゃんに似てるものじゃなくて、紛れもなく、彼女自身だった。
←