わたしの幼馴染は誰が見てもわかるぐらいサッカー馬鹿である。一応わたしもマネージャーなのだがそこまでサッカーが好きなのかと聞かれればそうではないのかもしれない。はっきり言って微妙なラインなのである。
「なまえ!」
(・・ああ。きっとわたしはサッカーをしているときの守のあのキラキラした笑顔が好きなんだ)
手を振りわたしの名前を呼ぶ守の姿を見ながらぼんやりと思う。それでも、守だけだなく他の皆もそうだと思うのにどうして守のときだけあんなに輝いて見えるのだろう。
「どうしたんだよなまえ?」
「・・あっ、」
守がひょっこりと小首を傾げながらわたしの顔を覗き込む。なぜだかそんな仕草にきゅん、となった。
「や、・・なんでも」
「なんでもないわけないだろ!」
ずい、と顔を近づけてくる守に後ろへ後退する。へ?なになになに!?なんで顔、近づけてくるの!?ぎゅ、と目を瞑る。
「ま・・守ー!」
その瞬間ごちん、と守のあでこが自分のおでこと重なる。わたしは数回瞬きを繰り返した。
「あれー?熱はねえな」
なんて、特に気にした様子もなくそう言って唸る守。ちょっと!少しくらい意識したっていいんじゃないの!?わたしばかりドキドキして馬鹿みたいじゃない!
「あるわけないじゃん!」
「今日は部活でずに帰れ!」
「えっやだ!でるー」
「なまえ!!」
「ー・・わか、った、」
あまりにも守が真剣な目をするから。わたしは『はい』としかいえなかった。
「帰る・・けど、心は一緒だよ!」
「あたりまえだろ!」
守のにかっと笑う、いつもの笑顔にわたしも小さく笑った。
(あなたが笑うと嬉しいの)