ぽかぽか暖かい陽気な日は眠たくなっちゃう。
「終わらない…」
やってもやっても終わらない仕事の山にいい加減うんざりしてきた。おしつけた張本人であるジャーファルは少し抜けます、といったきり帰ってこない。逃げたか。いやいや。仕事が恋人なジャーファルがそんなことするはずはない…と信じよう。
「うー…昨日徹夜だったから眠…」
ふあ、と欠伸をひとつ。したことに気づき慌てて口を塞ぐ。ジャーファルがいつも口にしている小言を思いだしたからだ。危ない危ない。今の見られてないよね?確認するように辺りを見渡した。だけど限界、だ。頑張って目を開けていたがいまにも閉じそうなのである。
いつのまにか夢へと旅立っていた。
「遅くなってすみません。少々長びいてしまっ、て、…」
やっと戻ってきたジャーファルは目を丸くし、机にうつぶせになっているなまえに嫌な予感がした。だいたいこんな時の自分の予感は当たる。
「…やっぱり…」
ジャーファルは手で顔を覆い、ため息を深く吐いた。すやすやと眠っている部下にジャーファルは泣きたくなった。
「なまえ起きなさい」
「ん…」
揺さぶり、声をかけてもなまえは小さく唸り、身をよじろぐだけ。
「…わたしも徹夜明けなんですけどねえ、」
「…ジャー、ふぁ、る…」
「っ、なまえ…?」
名前を呼ばれたジャーファルは肩を揺らす。少し声色が色っぽくてどきりとした。それから心臓の音が通常よりもうるさく鳴って。どうしてしまったのだろう。ただ名前を呼ばれただけなのに。いま、なまえは本当に自分の夢を見ているのだろうか…?
「なまえ」
さらり、となまえの髪を撫でる。
髪、首筋、頬、…そして唇。あまりにも柔らかくて。甘いいい匂いがして。なにもかもがジャーファルの理性を乱していく。
「なまえ…」
「ジャーファル…?」
ジャーファルが顔を近づけようとしたとき、目を覚ましたなまえと目があう。ジャーファルはばっと飛び退いた。
「なまえいつから…起きて」
「いま、キス…しようとしてた?」
「……」
「ジャーファルってわたしのこと好きだったの…?」
さて、どう説明しましょうか。
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